つくねの箱の中

思ったことをつらつらと。

2021年夏アニメ 所感

社会人には夏休みなどなく... そんななか視聴した作品達を振り返っていきます。

【S】 なし

【A+】スパスタ かげき 

【A】 サニボ リメイン メイドラ 

【Aー】ヒロアカ 韋駄天 迷宮ブラック 

【B+】ひぐらし トーマン 不滅 

【B】    ナイトヘッド ぼくリメ

【Bー】なし

【まだ】マギレコ

【通期】ボルト  ダイ大

【継続】アクアトープ(B+)

計17本

 

以下個別感想。

 

【A+】

・スパスタ

最終回で見事かげきを差し今期トップの作品に。メインキャラを少なくした采配が大成功、渋谷かのんの成長という縦軸を緻密に描くことができたのは間違いなく大きなポイントでしょう。とにかくかのんが主人公していたのが印象的。作中でも指摘があったような過去トップクラスのカリスマ性と克服すべきトラウマを併せ持つ、正に主人公たる存在だったかのんが要所を締める非常に気持ちの良い展開を武器に最後まで走り抜けていきました。

もちろん作画に見劣りしない3DCGや感情を細かに描写する演出も高ポイントではありますが、このストーリーに揺さぶられたのが一番の評価要素でした。花田脚本は近年留まる所を知りませんね〜。ガバさを見せつつもキメシーンをどう盛り上げるかにこだわるスタイルは今の脚本家の中では随一だと思います。

2期は既に決まっており、グループが、そしてかのんがどう成長するかがとても興味深い続編になりそうです。期待して待ちましょう。

・かげき

スパスタには及ばずとも今期トップクラスの作品。派手な絵はなかったものの堅実な話運びと個性的なキャラクターで最後まで今期をリードしていました。「個性的なキャラクター」といっても、最初から全員がそうだったわけでもなく、むしろサブキャラの造形はモブに近く。それでも各キャラにドラマを持たせ愛着を持てるようにした各話数が良い仕事をしていました。中でも星野薫の淡い夏休みを描いた8話はエピソード単位で見ても今期トップクラスの話数だったと思います。そんなサブキャラ達が深みを持たせていくなかで、変わらず作品をまとめていたのが主人公のさらさ。破天荒キャラが周りを引っ張り上げる構図自体はよくあるものですが、特異な才能を活かし行動で魅せていく姿はメリハリも効いた作画と合わせ作品の柱たらしめていました。

総じて出来が良い。2期希望の作品です。

 

【A】

・サニボ

最終回で大きく評価を上げた1作。ビターな世界を迎えることになっても前を向いて歩いて行く、そういう一人の少年の等身大な成長を描けたことには、この作品が生まれた意味があったのだろうと思います。全体的に説明不足、雰囲気で攻めていくエンタメとはほど遠い作風でしたが、反骨心は評価したい所。劇伴の少なさである種の緊張感は持ちながら見られた一方、各話数のつながりが見えにくかったのが惜しい点でしたね。猿野球回なんかは1クールアニメの序盤でやる話ではなかったし。あと劇伴がないなら挿入歌もいらなかったかな。とまあ言いたい点は多々ありつつも最終話まで見ることができたのは雰囲気とキャラクターの良さに尽きる。万能クリエイターラジタニやおっぱいに顔を埋める朝風といったサブキャラはもちろん、長良、希、瑞穂のメインキャラはやりとり含め作品の雰囲気を形成するのに欠かせなかったと思います。

色んな人に見てもらいたい、そんな作品でした。

 

・リメイン

記憶喪失の主人公というファンタジックな設定を上手に使い爽やかなスポーツアニメを生み出した手腕に拍手を。危うかったのは序盤くらいで、メンバーが揃ってからの展開には目を見張るものがありました。特に主人公みなとが記憶を戻し性格が真逆になってしまってからの話の運び方。俺様キャラになってしまったみなとを悪者として描くのではなく、かつての強者として部活を引っ張る主軸と描いたことでチーム全体の意識を変え、またみなと自身は優しかった頃の自分が残したメッセージを見ることで意識を変え、と双方のみなとを立てつつ話を進めてきたのは匠の技でした。最終話もスポーツ物の王道を展開しつつ家族問題までフォローする細かさを見せるなど、脚本のうまさが際立っていたと感じました。

前半メンバー集めパートがあまりノレなかったのでこの位置ですが、2期があればA+級の面白さを見せてくれるのでは? 期待します。

 

・メイドラ

前期はAーでしたが今回はAで。上げた理由としては、やはり作品の楽しみ方が分かってきたのかなと。キャラをかわいらしくコミカルに描くセンスは京アニの中でも石原監督が一番で、そこの強化も理由の1つでしょうか。高クオリティの作画で細かくキャラを動かしつつ、「いい話」に持っていけるのは京アニならでは。カンナ回の10話が顕著だったように思います。一方でシリアスが合わない、きつい点は相変わらず。「共存」をテーマにトール周りで縦軸として話を進めるのはいいけども、エルマとの絡みでシリアスを引っ張り出す必要はあるか...?と振れ幅のギャップには少し辟易する面も。

それでも総じて基本安定して楽しめる作品でした。今後も楽しい作品をよろしくお願いします。

 

【A-】

・ヒロアカ

全体的に6期への準備期間といった印象が強かったシーズン。劇場版を挟んだこともあり、構成や作画がそちらに引っ張られる面も強く、今までと比べたら力不足感は否めないのは確か。それでも破綻はせずに要所要所は締めてきたところはさすがの一言です。

全ては(スタッフ的にも視聴者的にも)作品最大のカロリーを必要とする戦争編の布石だと思って。続きを楽しみに待ちましょう。

 

・韋駄天

レイプに始まりダルマで終わる。最後まで露悪的な展開と激しいアクションで引っ張るザ・深夜アニメと言うべき作品でした。過労死まったなしの勢いで作品を提供し続けるMAPPAの現状を踏まえると心配になるくらいの戦闘作画は安定していたものの、話的には語れる場面は少なく。着地点が見えたのは最終話でしたしね。個人的にはイースリイのCVを務めた緒方恵美に注目したいところ。昨今女性声優が男性キャラを演じるのは少なくなってきていますが、少しくぐもった独特な声質はまだまだ唯一無二でしたね。

原作はもう丁度使い切ってしまったようで、恐らく2期はやるにしても相当先の話だと思いますが、その時は見てもいいかなと思えた作品でした。気軽に見られるのはやはり必要。

 

・迷宮ブラックカンパニー

1話で獲得した好感度で最後まで突っ走ることができた作品でした。クズは強い。

CVの強さが光っており、特に主人公二宮に小西克幸を充てた采配はベストだったと思います。コメディ作品に必要なハイテンションをキープしつつかっこいい場面でも崩れない力強さを両立できる声優は意外といないのでは?高笑いが印象的でしたね。

話的にもエルザをギャフンと言わせる縦軸に沿いつつ愉快なエピソードを進めており、タイムスリップ編やほっこりエピソードでお茶を濁していながらも毎週安定して見られた作品でした。今期この作品を超えるかどうかがAーかB+かの違いだったかなと。

 

【B+】

ひぐらし

業終了時にあった期待は物の見事にぶち壊されましたが、毎週楽しく見ることができました。解決編の作りとして元々再放送チックになるのは仕方ないとはいえ、沙都子が壊れていく様子、SSR鉄平の様子を眺めるくらいしか見所がなかったのは残念な点とはいえ、それを綺麗にまとめる終盤が見られると思いきや、始まったのはシンひぐらし。想像とはだいぶ違うものを見せられたとはいえ本音をぶつけ戦い合う様子は面白かったので個人的には満足でした。考察勢は気の毒だと思うけど... 

何はともあれ3クールリアルタイムでひぐらしというコンテンツを楽しめたのはいい体験でした。お疲れ様でした。

 

・トーマン

設定の強さとヒキの強さが最後まで魅力的な作品でした。アニメとしては低クオリティの一言で済ませられるので話すものはないですが。タイムリープ物の強みは人を殺せる点にあると改めて感じたのもこの作品。大事な人を死から救うという単純ながら強烈な目標が、主人公と視聴者とで明確に重なるのは大きな利点ですね。本作ではそこにヤンキー物という前時代的ではありながら大衆ウケしやすいジャンルをミックスしたのが良かったですね。強い男達の中であがく弱者という構図も作れ、非常にスマートな作品だと思いました。ただタケミチは頭が悪すぎて応援しにくかったけれど...

恐らく2期もそのうちやるとは思いますが、これに限っては漫画でもう充分ですね。

 

・不滅

1クール目は人との交流の中で進化していくフシ、という軸があり好意的に見られましたが、2クール目はよくある戦闘作品に落ち着いてしまい、退屈な作品になってしまいましたね。平均してB+です。人間ならざるものが人間とのやりとりを通して成長していくという話の立て方は「ディスコミュニケーション」をテーマにした前作『聲の形』と通じる所があり、やはり1クール目、2クール目の最後は評価したい。それだけに戦闘回に意味を感じられなかったのが返す返すも残念でした。ノッカーとはなにか、それが明かされなかったので単なるお邪魔虫になっていたのもありここがもう少し深掘りできていたら話は変わっていたのかも? 次シーズンも制作決定していますが展開が牛歩なこともあり視聴意欲は薄いのが正直な感想です。

 

【B】

ナイトヘッド

設定が壮大すぎてついていけなかった... ここまで感想を書きにくい作品もなかなかないですね... 前半の仕込みに後半の急展開が間に合っておらず、結果として綺麗だったものの響かないエピローグが生まれてしまっていたかなと。登場人物の物わかり良すぎたのもとにかく纏めきろうとする脚本が垣間見えてそこも残念な点。白組のCGは相変わらず素晴らしく、やはり今のCGアニメ制作会社では群を抜いていると感じました。

 

・ぼくリメ

主人公がタイムリープさえしなければ世界は丸く収まっていたんじゃないかという懸念が最後まで尽きることがなかった... 様々な登場人物も全て主人公の引き立て役でしかなく、試みは面白かったものの平凡な作品となってしまいましたね。プラチナ世代と同じ舞台で頑張りたいという独善的な動機から始まる物語を描くには主人公に世界が優しすぎたのも快く思わなかったですね。恐らく主人公の声がもう少しまともならそれなりの評価はできたのかもしれないけれど、そこは自社作品でもないのにねじ込んでくるブシロードを恨むしか。作画はよかったのは唯一の救い、そこはさすがのfeel。

 

さて、今回の感想まとめはこれで以上になります。ここまで読んでいただきありがとうございました。

正直本数削った割に満足感はあんまり得られなかったので個人的には不作でしたね~。

本数が死ぬほど多い秋クールに期待しましょう。