つくねの箱の中

思ったことをつらつらと。

2021年冬アニメ 所感

秋アニメの総括を吹き飛ばしてしまったので今回はちゃんとやります。

ざっと並べたものがこちら。

【S】 ウマ娘2期

【A+】無職転生 STONE2期 進撃3期 呪術 SK8

【A】 BEASTARS2期 ワートリ2期 

【Aー】ホリミヤ 細胞BLACK 怪物事変 ひぐらし業 2.43 五等分2期

【B+】リゼロ2期 IDORY PRIDE ブラク

【B】    友崎 ネバラン2期 

【Bー】なし

【保留】ワンエグ

【通期】ボルト 遊戯王

【継続】大罪(B) ダイ大(B+) バックアロウ(Aー)

 

今回から分割1クール目は【継続】枠から外しました。一端の区切りということで。

いやー近年でも稀に見る良作揃ったクールになったのでは。

まともにアニメが見られる最後のクールがこれでよかった。

以下個別感想です。

【S】

ウマ娘2期

およそ3年ぶりのランクS。世間が超絶盛り上がってるからという訳ではなく、単純に一アニメファンとして納得のSランクです。スポーツ物の王道スタイルを史実と組み合わせるストーリーの構成力がお見事でした。

まず1期と比べて軸がとてもはっきりしていた点がよかったです。1期はスペシャルウィークの物語とサイレンススズカの物語が別々に進行しているような印象を受け(実際時代が違うので当たり前だが)良作の域を出なかったところ、2期はテイオーとマックイーンに焦点を絞って作劇を展開させていました。これによって分かりやすさが倍増し、2人に思う存分感情移入できるようになったことで盛り上げる回でしっかりと視聴者を盛り上げることができていたと思います。

次によかったのがサブキャラがとても良い働きをしていた点。及川監督が得意とするコメディパートを支えるたくさんのウマ娘はもちろんのこと、TMの物語というスタンスは崩さず、ライス回であったりターボ回であったりを仕込んでくるタイミングが絶妙でした。特に史実では1つの名レースでしかなかったターボのオールカマーをテイオーの再起に繋げてきた10話は見事の一言。あの瞬間に作品の勝利を確信しました。

最終回こそ少し落ち着いた着地とはなったものの、それまでの盛り上がりは他の追随を許さない出来だったのは間違いありません。リアタイで追う楽しさがありましたね、ありがとうございました。

【A+】

無職転生

とにかく作画がすさまじい。魔法描写、剣術描写、日常描写、全てが劇場版のようなクオリティで作られておりどこをとっても一級品でした。これにより作品の雰囲気が強固になっており、自然とキャラクターに感情移入することが出来るようになっていましたね。例えばエリスは暴力ツンデレと一世代前のキャラクターではあったものの、デレパートがとても可愛らしく描かれているので視聴者の好感度が上がるようになっている、といった形だったり。あと特筆すべきは前世の男が作品に出張ってくる点。杉田智和による落ち着きと怠さが同居したようなモノローグが主人公の好感度を支えていたのは大きかったなと。もちろん物語も退屈なものではなく、自身が成長していくスローライフ物から「ターニングポイント」を経て死を伴う冒険物に変わるのは効果的なジャンル変更だったと思います。総じてとてもよく作り込まれている作品でした。2クール目も楽しみですね。

・進撃3期

正義とは何なのか。巨人を駆逐するために少年が戦うダークファンタジーが人間の業を問いかける重厚な展開を制作陣がしっかりと描いた1クールになりました。MAPPAは頑張ったよ。あえてマーレ側の日常風景を密に描くことでそれを破壊していくエレン達の立ち位置をぐらつかせたストーリー運びは熟練の域。特にガビ周りは出来すぎてて怖いくらい。立体機動装置による戦闘だけでは収まらないのがこの作品の素晴らしい点だと改めて感じました。とはいえ戦闘が大きな魅力の一つなのは間違いないので、引き続きMAPPAには頑張ってもらいましょう。正直心配ではあるけど。

・STONE2期

原作が持つスピード感を失わないように、かつ気合い入ったシーンはアニオリや演出でじっくりと盛り上げる。非アクション作品のアニメ化としてはこれ以上なくよく出来ていたんじゃなかろうか。WJ作品は基本全て原作既読で挑むのでどうしてもハードルは高くなってしまう所、この作品は最後まで原作の魅力を引き出すことに成功していた印象です。撮影やエフェクトをふんだんに使った画面作りが隆盛を極めようとしている現在において、メリハリをつけて画面のクオリティを維持しながら話の強さで勝負するこの作品の戦い方は大いに評価すべき点だと思います。

・呪術廻戦

NARUTOや鬼滅を経て生まれたジャンプバトル漫画の結晶といって間違いない、この作品はそういう作品でした。常にベテランや若手の大物アニメーターがハイクオリティな戦闘を繰り広げつつも、ダレる1話を作らない脚本構成を用意と、ジャンプバトル漫画に足りない点を全て取りそろえてきたのは数々のジャンプアニメに触れてきた人間として感涙の一言。上のSTONEの項でも触れていますが、原作ものを見る際にはどうしても色眼鏡で見てしまうのが既読者の常です。ここはどう表現するのか、どのような戦闘をするのかといったように。それを踏まえた時、この作品は原作をどうリフレインするのか、漫画とアニメの表現の違いをどう画面に起こしていくかを常に考えていたと振り返ることができます。鬼滅とはその点正反対の作り方をしていますが、自分としてはこちらの方が断然よかったですね。劇場版として公開される呪術高専はプロトタイプということもありリフレインし放題だと思うので、思う存分やってもらいたいです。

・SK8

「楽しい」を軸に綺麗にまとまっていた完成度の高いオリジナル作品でした。

アダムの発言筆頭にBL的な要素を入れながらも「○○は楽しい」でラスボスが浄化される下りがあったり作品全体としてコミカルなパートが多かったりと、感覚として全日帯ホビーアニメの深夜版といった雰囲気が強かった今作。激しいスケボーアニメーションのアシストもあり、最後までテンション高めで見ることができました。スケボーの面白さを伝えつつ仲間集めを行った序盤、アダムの強烈なキャラクターが提示され勢いを増していく中盤、レキとアダムのダブルパンチでアダムを倒すまでの終盤、そのどれもが面白かったのはキャラクターの立たせ方がめちゃくちゃに上手かったからですね。オリジナル作品で一番の難所は短い話数でどうキャラの良さを伝えていくか、だと考えているのでそこを悠々とクリアしていったのは本当に素晴らしい。大作目指してコケるオリアニは見習ってほしい点だと感じました。円盤を売れたので2期やってほしいですね。謎の早見沙織はその伏線だと信じておきます。

【A】

・BEASTARS2期

長期連載の過渡期によくある要素のごちゃつきが影響してしまっていたかな。1期の評価点であった肉食と草食の恋愛要素、これが食殺の犯人を探すというもう1つの軸に追われ削がれてしまった。これが自分にとっては大きかったですね。ハルやジュノといった魅力的な女性キャラとの絡みという「陽」の側面と、ルイなどと絡む時の肉食と草食の根本的な差という「陰」の側面とのギャップが引きつける要素として強かったもあり、「陰」に大きく振られた2期は面白さはあったもののそこまで乗り込めるものではなかったというのが正直な所。あとはリズともきっちり決着をつけてほしかったですね。ルイの捕食も含め、清濁併せのまなければならないというレゴシの選択は少年漫画脳の自分には少し物足りない部分はあった。(尺不足も大きかったか?)

総じてレベルは相変わらず高かったものの1期と同じ評価はできなかったのでA評価。

・ワートリ2期

随分とクオリティの上がった作品となりました。気合いの入った戦闘シーンがコンスタントに繰り出される今までの東映作品ではあまり見られなかった完成度が自分の好きな作品でやってくれたのは嬉しかったですね。戦闘中棒立ちモノローグにならないよう頑張っていた演出もよかった。香取過去編も力が入っており、静も動も面白い本作品の魅力を損なわないよう工夫して作られているように感じた良作ですね。

大きく盛り上がるだろう2クール目も楽しみに待っています。

 

【Aー】

ホリミヤ

圧倒的温度感のよさ。繊細な彼ら彼女らを表現するかのような線の細さと淡い色影を使った演出が効果的に作用していたのが印象深い。いい演出アニメでしたね。物語の空気を後押ししていたOPは今期随一の出来、さすがOP職人石浜。ただ主軸となっていた物語、堀-宮村カップルにいまいち乗り込めなかったりサブキャラ渋滞が起きてしまったりでこの評価。最終話含めて宮村に最後までとっつきにくさを感じてしまった。割と欲に忠実な堀さんはかわいかったです。石川-由紀周りのエピソードが一番良かったかな。サブキャラの恋愛は勝者と敗者が出てきがちなので上手くまとめられたら面白くなるよね。なんにせよ綺麗にまとまったいい作品だったと思います。

・細胞BLACK

内容一本勝負でオリジナルを上回ったスピンオフになりました。牧歌的で理科の教材に近いオリジナルとは正反対のブラックな労働環境を見せつけたことで、細胞達1つ1つが頑張って働いている姿が印象に残るようになっていた感じ。細胞の死から逃げなかったのも好印象。特に長い話数をかけて相棒との友情を確認させたうえで終盤で殺していく心折設計には涙を禁じえない。発生するアクシデントも現実感を伴ったものとなっており(心筋梗塞はさすがにNG)、立ち向かう細胞達に自然と感情移入させられる。これはもう企画の勝利。彼らの職場をホワイトにできるよう生活を心がけようなオタク達...

・怪物事変

珍しく追っていなかったジャンプSQの漫画。地力がしっかりしていたのが良かったですね。敵味方ともに怪物が怪物のルールで動いており日和った展開にしなかったのは青年誌系のなせる技。ずば抜けて評価できる点は見受けられなかったものの、魅力的なサブキャラを出しつつメインキャラの掘り下げに余念が無いいい展開を積んでくる優等生な作品だったので総合的にこの位置に。続きをぜひやってほしい作品ですね。

ひぐらし

単なるリメイクかと思いきや新ルートを展開。沙都子が黒幕であることを明かしその背景をじっくり描いたうえで夏の解答編に突入と、ひぐらし履修済の視聴者ならば毎週楽しめるであろう話を提供してくれたことには正直驚いた。内も外も仕掛けがしっかり機能した結果かな。令和にコンテンツを復活させるならこのくらいやってくれると嬉しいですね。「業」自体振り返ってみると話はまるで解決しておらず、またひぐらしは結局のところ終わってはじめて評価が付けられると思っているので今のところはAーに収めたけれど、「卒」と冠された解答編でAに行くことは充分ありえるだろう。期待しています。

・2.43

試合に入るまでは間違いなく良作だった。相手チームにスポットを当て始めてからが微妙で結果この位置になった感じ。1年コンビと小田のキャラは間違いなく作品を引っ張っていたので、彼らを中心にしつつ他のチームメイトを試合のなかで丁寧に掘り下げていけばライバルを出さなくともいい作品になりえたのになあと惜しさが目立つ形でしたね。あとこれを言うと元も子もないがバレー描写を頑張ろうとすればするほどハイキューの化物じみたクオリティとの差が浮き彫りになってしまっていた。偉大な先輩がいたのを残念に思うしかないですね。

・五等分2期

ネバランほどではないものの爆速スピードで原作を消化した2期。姉妹達のギアが温まっていき本格的に物語が進行する章が多かったのでここをカット込で流されてしまったのは残念ではあった。それでも物語が破綻しないよう要所を拾って見れるものにしたのはシリーズ構成大知さんのお手柄かな。比べる対象が低すぎるのもあるけれど1期より絵もよかったですね。特に二乃は見違えるように可愛らしくなった。頑張っていた続編だと思います。ここを犠牲にしてまで仕上げたかったであろう3期を楽しみに待ちましょう。

【B+】

・リゼロ2期

単なる2クール以上の密度があった(時間の話)作品だった、ただその長い時間に応えられるだけのカタルシスには遠かったな~という感想。半クールペースでどんどんと話を展開させた1期との最大の違いはここでしたね。SAOアリシ編もそうだったけれど、小説とアニメでは作品の受け取り方が違うのでどうしてもアニメだと間延び感が出てしまう。難しいな。あとはスタッフの流出による作画面(特にアクション)の劣化が目についてしまったのも惜しかった。バストアップが連続するカットが多く工夫しているのは感じられたけどやはりアクションではどうしても差が出てしまう。これも難しい。アニメ化には不向きな章でしたね。

・IDORY PRIDE

色々と粗が目立つ惜しさが目立った作品。大仰な宣伝とともに始まった1話は確かに既存のアイドル作品とはひと味違った出足ではあったけれど、そこがピークでしたね。2つのアイドルグループを出していくのはソシャゲを踏まえた展開とはいえ、さすがにキャラが多い。メイン2人を掘り下げるのに精一杯で他メンバーは魅力に乏しい状態に。その割にライバルグループの過去を描く時間を用意するのは尺の使い方に問題があったのでは。極めつけは麻奈の存在。存在感が強すぎたよ。最初と最後のメインシーンを担当したもんだから結局これ彼女の話だったではという印象を持ってしまう。

また手書きダンスはレベル高いのに3DCGダンスは処理落ちありとクオリティの瑕疵も目立つ。掘り下げられた2人や生命線である曲はよかったりと褒められる点がある分そこかしこに反省点があるという理由から惜しい作品止まりとなってしまいました。

 【B】

・ネバラン2期

どうしてこうなったのでしょうか。大体は脚本圧縮のせいだとわかっているけれど。

原作者監修の下カットの嵐でやりたいことだけをやって終わった今作だが、尺のために溜めとなる部分が消滅しており、原作でも散見されたご都合描写が際立ってしまうことに。本来なら2期範囲であったGP編(生き残りの大人と組んで上級鬼と戦闘する章)も無くなったことで敵側の鬼は総モブ化。肝である逃走もイージーゲームとなってしまった。個人的にはエマの最強論理もまあ少年漫画だしと妥協していたので強調されてもさほどマイナスとは思っていなかったが、期待していたアクションがなくなったのは辛かった。1期ではなかった演出3人回が続くという制作の限界感もあった。総じて劣化してしまいましたねえ残念。

・友崎

日南のキャラが回を増すごとに不愉快になってきたのでこの評価。まずそれ以前にこの作品における「リア充」の定義が自分に合わなかったのでなんで全部見たんだって話ではあったが。結局日南はなにがしたいのか、それがぼかされたまま話が進みつつ日南は強者のスタンスを崩さない。謎を抱えたヒロイン兼ボスキャラのポジションを作りたかったのかもしれないがそれに至るまでの好感度が溜められていない。デレがないヒロインを前面に出し続けるのはさすがに自殺行為だったと思います。ライトノベルはヒロインが大事。

 

さて、今回の感想まとめはこれで以上となります。

今後はなかなか見る本数が少なくなってしまうと思いますが、追う楽しさを与えてくれる作品に出会っていきたいですね。