つくねの箱の中

思ったことをつらつらと。

2020年夏アニメ 所感

毎回続けていきたいシーズン総括。

今回はこんな感じの振り返りになったということで早速やっていきましょう。

前回は総括記事はこちら↓

bakobako.hatenablog.jp

 

ざっと並べたもの。

【S】  なし

【A+】超電磁砲3期

【A】 俺ガイル3期 デカダンス 

【Aー】魔王学院 富豪刑事 あひるの空 (銀英伝

【B+】SAOWoU ソーマ5期 彼女、お借りします 天晴爛漫 (AICO)

【B】 GOH  エグゼロス (日本沈没

【継続】フルバ リゼロ グレプリ 炎炎 

 

【通期】ボルト 遊戯王ラクデジモン

計20本

いやー多かったですね。以下個別感想です。

 

超電磁砲3期 A+

コロナと戦いながらも放送し続けた大覇星祭編、再稼働後の天賦夢路編、どちらもハイクオリティを保ち続けたまま完走してくれました、拍手。

J.C.STAFFの凄腕アニメーター達が毎話のように参加していた今作は、過去の超電磁砲を超えるレベルの戦闘を魅せつつ原作補完も完備した隙のないストーリーを展開、アラが目立つアニオリ長編もやらなかったことでこれ以上ない完成度のまま今期のトップを走り続けていました。とあるシリーズファンとして感無量です、という意味を込めてA+に。本編の犠牲は忘れない。

戦闘全般がよかったのは言うまでも無く、原作のもつコミカルさを活かした回も抜群の出来でした。『ハイスコアガール』監督の山川吉樹さんがコンテを担当した18話は、影のベストエピソードとして大きな印象を残しましたね。

現在原作ストックが1巻分しかないので4期が作られるのは当分先だとは思いますが、また素晴らしい作品を作り上げてくれることを期待しています。

 

・俺ガイル3期 A

2013年に放送開始したこの作品も7年の時を経て遂に完結。3期通してカットの多いアニメとなってしまったものの、雪乃のかわいらしい笑顔を最終話に見せてくれたこの作品に感謝とお疲れ様を込めてAをつけました。

上にも書いた通り自分は雪乃派なので3期は大歓迎だったんですけど、結衣派は血反吐をまき散らしていたんだろうなと思わざるをえない構成でしたね。雪乃の描写を削ったうえで、モノローグも入れつつ丁寧に結衣の心を折っていくスタッフは鬼そのものだと思いました。A+でない理由は雪乃に限らずカットが多いことで1つ1つの描写が薄くなってしまった点と3期範囲の原作自体がそこまで面白くないからですね。まあこれは原作の話になってしまうのでここで面白くない理由を書くのは控えますけど。

なにはともあれ、コロナの影響も受けながらアニメを完結まで続けてくれたことに、改めて感謝です。ありがとうございました。

 

デカダンス A

非常に惜しい今期のオリジナル作品。半分までいったところではA+級を信じて疑わなかったのですが、そこからだんだんとスケールダウンしてしまったのが残念でした。しかしアクションシーンの出来映え、ナツメのキャラクターはとても好感度が高く、前半の貯金も合わせて評価はA、という感じです。

スケールダウンという言葉、言い換えると優等生に収まってしまった、ですかね。

この作品の主人公はカブラギであったのは間違いありません。その彼が「ぶっ壊そう」としていたシステムは、果たしてぶっ壊れたのか。答えは否です。モンスターハンターからどうぶつの森にゲームが変わっただけで、システムに支配されているという現実は変わっていません。主人公に「ぶっ壊す」と発言させるなら、宇宙に行って元凶の宇宙船を破壊すべきだと思います。尺が足りないわりによくまとめた、だったり2クール欲しかった、だったりという意見をいくつか見かけましたが、オリジナルアニメで尺にあったストーリーを作れなかったというのは大きなマイナスかなと。実際余分な展開が多かったように思えます。例えばサルコジが犠牲となる話は必要だったかどうか。カブラギとナツメに焦点を絞って話を進められていたら、もう少し面白い作品になったのではないかと思います。

ナツメというキャラクターについて。今まで見てきたCV楠木ともりキャラで一番魅力的なキャラでした。彼女が凡キャラなら評価はもう少し下になっていたところです。自身が下の下の人間であると自覚したうえで、それでもなお光を探し続けることに迷いのない彼女の姿にカブラギが惹かれるのも納得でしたね。

まとめると『ダーリン・イン・ザ・フランキス』『キルラキル』のようなTRIGGER作品におけるラストバトルが欲しかったね、という話でした。超展開すぎると批判を受けることも多いTRIGGERのラストバトルですが、この作品を見るとハッタリの重要性に気づかされますね。壁を破る一歩が踏み出せなかった本当に惜しい作品でした。

 

・魔王学院 Aー

テンプレートに沿ったなろう系...では収まらなかった今期のダークホース。多少飽きはきていたものの、最後まで楽しませてくれたこの作品にはAーをつけました。

この作品の魅力はやはりアノスに尽きるでしょう。傲慢なオレ様キャラと思いきや、家族愛にあふれ仲間が傷つけられると怒りを燃やす王道を往く少年漫画系主人公だったアノスだからこそ、俺TUEEE展開も笑って応援できるつくりになっていました。

大沼心パワーが抜群に発揮されていた(と思われる)4話で引き込みにいった作戦が大正解でしたね。この作品で監督として色々学んだとインタビューで語っていた田村監督がコンテ、演出、原画と様々なセクションで作品を引っ張っていたのも印象的です。

シルリンのラノベアニメからはデスマーチのショックでしばらく離れていたのですが、これを機にまた新作を追っていこうという気持ちになりました。ありがとうございました。

 

富豪刑事 Aー

こちらも最後まで楽しく見ることができた作品。路線変更に惑わされながらも先が気になる作りで飽きさせませんでしたね。Aでもいいかなとは思っていましたが、最後のラスボス周りが微妙だと感じてしまったのでAーです。

この作品は大きく分けて2つの要素、トンデモ解決とバディの成長を見守るコメディ刑事物要素と中盤から生えてきた神戸小百合殺人事件の真相を追うシリアス刑事物要素があり、その振り幅が大きかったことは意外性があり自分にとっての評価ポイントとなりました。

一方でその両方がノれるものだったかというとそうではなく。コメディ要素を確立させた4話から一転し5話からシリアスルートに入ってしまったことには惜しさと寂しさが感じられました。全11話という短い話数のなかではどちらかに振った方がよかったのかもしれません。

結果としてAーという評価には収まりましたが、神戸と加藤の王道バディに最後まで楽しむことができたのは事実です。ありがとうございました。

 

あひるの空 Aー

全50話という長丁場をディオメディアが必死さを見せながらなんとか完走。有名コミックスが原作なだけあって、演出が微妙でもストーリーで充分に魅せてくれる作品でした。これでアニメとしての出来がよかったらAだったかな。

50話のなかで仲間集め、練習試合、公式戦、挫折からの復活と王道と言われるストーリー展開を詰め込んだ本作。所々でマガジンらしい?癖の強さも見せながらも丁寧な話運びは最後まで飽きさせることなく楽しませてくれました。

「バスケに逆転はない。」本編でも言及があったように奇跡的な逆転劇が起きるわけでもなく他校との試合は全敗。それでも楽しく見ることが出来たのは、その敗戦どれもに間違いなく役割があったからでしょう。少しずつ成長していく彼らの先に勝利があることを期待します。

アニメとしては...うーーーん、頑張った!としか言えませんね笑 海外の会社フル活用、演出に偽名たくさんとおよそまともではなかったろう制作環境にコロナが加わり、よく落とすことなく1年戦えたなと思います。(49話の清水空翔さん回はよかった)お疲れ様でした。

 

・SAOWoU B+

アリシゼーション編として始まった第3期も今回で4クール目、最終決戦にふさわしい見応えある戦いを見せてくれました。...が、改めてこの3期を振り返ってみると、作品としては凡庸なもので終わってしまったというのが個人的な感想です。なので評価はB+。

まずストーリー。SAOは2期のGGO編のようにストーリーが尺に対して間延びしている印象が強かったのですが、このアリシ編はそれに輪をかけて酷かった。リアルパートのUWパートを交互に展開していくのは原作同様なのですが、リアルパートはばっさりとカットしてもよかったのではないでしょうか。SAOは小難しい理屈を並べるよりアクションで魅せていくタイプの作品、戦闘を放棄してしまうと退屈な回となってしまいがちです。(キリトが眠っていた3クール目がいい例)

また、3クール目は整合騎士vsダークテリトリーというこれまでのSAOとは全く別物の展開が行われたことで関心を削がれてしまったことも大きなマイナスになってしまったと思います。SAOという作品はキリトによって成り立っていることを踏まえて、WoUは全15話くらいの尺でも十分だったかと。ジョジョと同じ道をたどってしまったなあ。

次に映像面。これは間違いなく伊藤監督時代から劣化したと言えます。全体的にシュールギャグのような絵が多すぎ。長い尺をとってラオウのようなポーズをとるニエモン、ラストバトルで何回も現れるユージオの精霊など、盛り上げようとしているのならば明らかにやりすぎな映像が数多く流れたことには監督のセンスを疑います。同クールで伊藤監督が元気にやっているのを見るともどかしい気持ちになりました。

撮影によってバトルの高級感が増したのはよかったです。元々上手いアクションシーンにこれが加わったことで、戦闘の1つ1つが劇場版クラスに跳ね上げられていましたね。続編でもぜひ続けてほしいところです。

とりあえずお疲れさまではありますが、出来自体に手放しで賞賛はできませんでした。SAOの原点を描く続編では、当時の興奮を思い出させてくれることを期待します。

 

食戟のソーマ5期 B+

こちらもお疲れ様でした。つまらなくなっていた原作を可能な限りアレンジして視聴に耐える出来まで引っ張り上げたスタッフに最大限の敬意を込めて評価はB+です。

ジャンプ本誌で掲載順最下位を何度もとったBLUE編ですが、その低評価を作り出した1つである「異能」という設定、まずこれを消去。実際読んでいて過去に登場したスキルがいきなりこの「異能」に加えられていったのは違和感アリアリだったのでこの変更はありがたかったです。また本編完結後、別媒体で掲載されたエピローグを追加し作品にまとまりを持たせるというストーリー改編もよかったと思います。総じて細かい変更の1つ1つが原作をブラッシュアップさせる役割を果たしており、愛のこもった映像化だったと言えるでしょう。ありがとうございました。

 

・彼女、お借りします B+

ストーリー以外はかなり高品質な作品。話だけを見るなら絶対に上がらなかった評価を

キャラクターのかわいさ、声優陣の演技等が押し上げた結果B+となりました。

話について。まず大学生の物語なのがなかなかどうして合わなかったですね。大学生というのは恋愛にセックスが密接に絡まってくる関係上、話が生々しくなりがちなんですよね。そこから逃げずに主人公の和也がそれっぽい妄想をするシーンを描くのは挑戦的ではありますが、わざわざそれをアニメという空想の世界でやられると嫌悪感を抱いてしまいます。和也は現実にいそうなクズなんですよね。見栄から嘘をつき続けてしまったり、すぐ欲情してしまったり。その姿を見て共感し笑ってあげるのがこの作品の楽しみ方と言われればそれまでですが、自分には合わなかったということで。

それでもこの作品を見続けることができたのは、一重に女の子のかわいさだったかなと。正統派ビジュアルの千鶴、甘ったるいロリっ子の瑠夏、悠木碧の演技が冴え渡る麻実(あと墨)、様々なヒロインがわちゃわちゃと動き回る様子は崩れなかった作画も加わって物語を引っ張るには十分な存在でした。続編でもこのかわいさは維持してくれたらまあ完走はできそうです。

 

・天晴爛漫 B+

なんで今期のオリジナルは揃って終盤落っこちるの...と悲しみにくれた2020夏。一番派手に落ちていったのがこの作品でした。前半AーorA、後半B、平均してB+です。

まず、この作品を通してスタッフがやりたかったことを聞きたい。西部劇だったのか、レース物だったのか。大陸横断レースに挑むという物語から始まり、ライバルとの対決や仲間の獲得までは順当に進んだものの、いざ始まると車から降りてギャングとドンパチやっている。これでは序盤を見てついてきた視聴者を裏切っているようにしか思えません。一応問題は丸く収まり後日行ったレースも優勝とハッピーエンド感は出していますが、そこに至るまでの道のりが全く構築されなかった印象です。キャラ紹介でレース要素を使い果たしてしまったのでしょうか。

技術云々の話をするにしても、主人公の天晴がギルを倒さないとまとまりがつかない。前時代の象徴たるギルが同じく前時代の人間である二人にやられるのでは...ねえ?

東洋人が技術力で挑む大陸横断レースという設定はよかったので、ギル周りを全消去してもう1回作り直してほしいくらいですね。最近のPA.WORKSは迷走が激しくて困る...

 

・エグゼロス B

2020年のアニメとは思えない拙い作画でせっかくのエロコメが死んでしまいましたね。話としても1話のインパクトを超えることはできず、物足りなさがかなり強いアニメとなってしまいました。ということで評価はBです。

とにかく作画が崩れていたのが悪印象。カノカリしかり、女の子主体のアニメは絵に気をつけてさえいれば最低限の評価を得ることはできます。それが出来ていないという時点で、この作品をまともに見せる気ないでしょと。ほとんどが他社グロス回でしたし、根本的に予算が足りてなかったことが容易に想像できます。コロナがなければ少しはましになったとは思うんですけどね。

話の方も、1vs1ラブコメというTo LOVEるにない要素を上手く使えていなかったですね。トーキョー支部やサイタマ支部の出番を削ってでも、雲母と炎城のラブコメを強く推すべきだったと思います。全体的に雑なアニメに終わってしまったのが残念でした。

 

・ゴッド・オブ・ハイスクール(GOH) B

最強の作画アニメ。それ以上でも以下でもありませんということで評価はBです。

まー戦闘がすごかった。朴監督が作る3次元的な戦闘シーンを(朴監督含めた)敏腕アニメーターが毎話描いていくと豪華な環境で生まれたものが面白くないわけがない。特にワタナベケイイチロウさんが手がけたシーンは圧巻でしたね。正直これらの戦闘シーンを生みだしただけで十分すぎる功績ともいえます。

しかし、それ以外の要素、特にストーリーは酷いとしか言えない。前半GOH予選まではまともにトーナメントを続けていたものの、後半本戦が始まってからは別世界が始まってしまいました。結局ドラゴンボールがやりたかったのかと分かったのは最終話になってから。神龍的存在がさらっと出てくるあたり一周回って最強感がありましたね。

振り返ってみて、この物語をとりあえず作画がすごいアニメ、として見させ続けた朴監督がとにかく頑張っていたと分かったのが数少ない救いです。朴監督は『呪術廻戦』の監督として存分にその才能をふるってほしいと思いました。

 

というわけで、総括終わり。ここまで読んでいただきありがとうございました!

秋アニメはとにかく数が多い&自分が忙しくなるので総括記事があげられるかは自信がないですが、それは置いといて楽しんで見ていきたいですね。