つくねの箱の中

思ったことをつらつらと。

2020年春アニメ 所感

コロナウイルスの影響で大きく環境が変わった今期。

その中で無事最後まで走りきった作品達をふり返ってみたいと思います。

冬アニメの時も同じことをやっているのでよければご覧ください。

 

bakobako.hatenablog.jp

 まずざっと並べたものがこちら。

【S】 なし

【A+】イエスタデイをうたって 

【A】 波よ聞いてくれ BNA かぐや2期 かくしごと

【A-】なし

【B+】グレイプニル アルテ 神之塔 ケンガンアシュラ

【継続】あひる フルバ 

計11本(再放送除く)

コロナの影響で視聴本数は減少したものの、再放送作品が支えてくれました。

 

以下個別感想。

イエスタデイをうたって A+

甘々な登場人物にいじらしさを覚えるような気持ちで視聴を続けることができたことが、この作品を高評価できた一番の理由だろう。

個人的今期最優秀キャラだった晴の存在は大きく、かなり駆け足だった最終回も彼女の笑顔が見ることができたおかげで好印象のまま視聴を終えることができた。CVを担当した宮本侑芽さんのナチュラルボイスがとても印象的だった。天真爛漫といった感じ。

また、小道具を丁寧に使った演出もこの作品の大きな魅力だった。ベンチであったり、電柱であったり、白線であったりと、キャラの胸中を具現化した”境界線”を意識した演出が多数使われていたように思う。

唯一の欠点は1クールで全てをやりきらなければいけなかった構成。陸生と榀子が付き合ってからの描写の少なさ、陸生が晴に惹かれるまでの描写の少なさ、これらを描くためにもう数話欲しかったという思いが強い。ただし2クールだと焦れったさが増すこと必至なので全15話程度の特殊構成なら上手くいったのかなと。難しかったですね。

 

波よ聞いてくれ A

最後までバラエティに富んだ作品だった。着地点が見えずふらついていた印象だったが、最終話でまとめあげたのは見事。これまで様々な「嘘」の番組を流してきたミナレが地震情報という「真実」を流すことで素人から脱却、一人前のパーソナリティを目指しはじめるという形で終わった最終話は成長譚のお手本のようだと感じた。

この作品を評価する上で外せない存在が麻藤を中心としたMRSのメンバーだろう。

彼らが常に安定した場をつくりあげているからこそ、ミナレの破天荒なアドリブが光る構図となっている。(光雄殺害企画回がわかりやすい)バックがしっかりとしているチームは強い。お仕事ものの醍醐味でもある高度なチームプレーは作品の面白さに大きく貢献していたと思う。

 

・BNA A

とても惜しい作品となってしまった。『プロメア』同様差別問題を取り扱った今作だが、差別や女性問題と様々な問題を内包した物語を前面に出し過ぎてしまったせいでエンタメに昇華できていなかったという印象を持った。また、12話で上手くまとめられていない(詰め込みすぎ)という感想をあげたが、オリジナルアニメは脚本の自由度が高いのだから、しっかりと1つのテーマに絞って作品を提示してほしい。

ただTRIGGERらしいメリハリのきいたアクションは相変わらずの良さで、この長所が存分に発揮されていた5話は今期一番の出来だったと思う。TRIGGERはやっぱりアクションを押すべきですよ。

 

かぐや様は告らせたい2期 A

定着した既存キャラクターとミコという新キャラクターの魅力をアニメ独自の演出で伝えようとしていたとても意欲的な作品だった。これは原作既読者としての意見になるが、この作品はメディアミックスとして他作品の手本にすべき存在だと感じた。

これは、文字が多いギャグ原作をアニメに上手く落とし込んでいたことが大きい。例えば『化物語』のパロディとしてTwitterでも話題になったシーンだが、これは原作では文字が並ぶ説明パートを飽きさせずに視聴者に示した一例といえる。このシーンのように視聴者が興味を抱くような演出を随所で仕込んでいく戦術が自分にはとても魅力的に思えた。空回りする時も多々あったが、これはやってくれたら嬉しい3期で調整してもらえるとありがたい。

 

かくしごと A

最終話で評価を上げた作品となった。元々久米田先生のギャグが好きな人間だったのでギャグパートに関しては問題なし。(もう少し1話1話での盛り上がりが欲しいところではあったが)これに加えてクリフハンガー方式で興味を持たせていた未来パートでしっかり盛り上がる展開に持っていけたことが好印象。過去パートで日常の素晴らしさを描いてからのギャップ提示→漫画と家族の力でハッピーエンドという最終話の展開は素晴らしい出来だった。

アニメと原作を同時に終わらせるという流れから構成が組まれたようだが、使えそうな話をピックアップしつつ最終話に繋げたスタッフの努力が感じられる。良作でした。

 

・グレイプニル B+

なかなかに惜しいアニメだった。序盤で見せた戦闘のテンションそのままに進めばかなり上位に位置できたはず。中盤森に入ってからの展開に序盤で見せたようなスピード感がないこと、この章での敵サイドに魅力的なキャラクターがいなかったことから大きく評価を落としてしまった。似たようなデスゲーム物で直近では『ダーウィンズゲーム』があったが、あれでは王さんというキャラの力で終盤の戦闘を盛り上げてくれていたことを思い出すと、やはり魅力ある敵は必要だったと思う。

最終盤、謎を振りまいて終わったが続編はやるのだろうか。あるなら見ていきたい。

 

・アルテ B+

こちらは逆に序盤が面白くなかった。出自や性別によって差別されながらも奮闘し周囲との親睦を深めていく女主人公、というのはもはや古典といっていいほどありきたりなストーリーである。発生するトラブルも予想できるものが多く、正直退屈だった。

進化したのは第2章に入ってから。カタリーナという第2の主人公と共に成長していくアルテは最終的に生まれ持ったものを全て活かしきるという結論に至る。(時代的にその発想にそもそも至るのかという疑問はさておき)ここで紋切り型のストーリーから脱却できたことはとてもよかった。これも2期あるなら見たいですね。

 

・神之塔 B+

終わってみれば13話全てが壮大なプロローグというトンデモ作品。配信が好調だったみたいなので恐らく2期はやるだろうし作戦は成功になるとは思うけれどなかなかに挑戦的だった。アクションが常に安定していたことが一番と言いたかったけれど最終回のラヘル(CV:早見沙織)の演技に持ってかれたところはありますね。彼女の鬼気迫った感情が上手く伝わった。作中で大事そうな要素は全て2期に持ち越されたので評価はB+に留まったものの2期で回収してくれれば自ずと上がっていくでしょう。

 

・ケンガンアシュラ B+

こちらは感想に書いたことが全て。人間戦闘が主軸であってもはじめから3DCGならば違和感なく見ることができるという新しい発見を得ることができたのは大きな収穫だった。『シドニアの騎士』のような作品ではじめて3DCG統一は意味を成すという認識だったので。

ストーリーはひたすら戦闘、戦闘と単調なものではあったがそのジャンクさはクールにいくつか欲しいものだったので気にせず見ることができた。脇キャラ同士の戦闘はどちらが勝つのか予想できないものも多くその点で楽しむことができたのもよかった。

配信当初とは違い今の自分はネトフリに加入しているので2期をやるのならそちらで視聴しようと思う。

 

さて、今回はこんな感じで終わりにしようかな。

感想を終えて、コロナの影響で多くの作品がつぶれるなか(完パケ含め)走りきってくれた作品は素晴らしいと改めて感じることができました。

スタッフの方々、本当にありがとうございました。