つくねの箱の中

思ったことをつらつらと。

=(1期+2期)÷"久石奏" -『劇場版 響け!ユーフォニアム 誓いのフィナーレ』感想

久しぶりに1本のアニメ映画について感想を書いてみる。

どのくらい久しぶりかっていうとリズ鳥以来。

(一応その時の記事宣伝しますね)

bakobako.hatenablog.jp

長々と感想を書くのは難しいけれど、このシリーズには意欲をかきたてられますね。

 

 

以下本編。

今作の時間軸はアニメ2期から地続きの時間軸でした。言うなれば「2年生編」と題せるこの作品は「1年生編」の内容を沿うように、けれどその1つ1つに変化を加え新しい物語を構築していました。アニメ1期は「吹奏楽をやるということ」、2期は「先輩と後輩の物語」とそれぞれにテーマが与えられていた前提で考えると、今作はその両方を追い求めていたように思います。それを象徴する存在といえるのが新キャラクターである久石奏でしょう。冒頭、久美子が演奏する「響け!ユーフォニアム」を奏が聴いている場面から新生吹奏楽部の物語は始まっています。この曲はアニメ2期ラスト、あすかから久美子に贈られたもの、バトンのようなものと言ってもいい曲でありそれを聴くということはこの2人が「先輩と後輩」の関係につながることを暗示しています。

実際2人は同パートの先輩後輩となりますが、ここから序盤は奏の底知れなさを周知させることに徹底しています。特にマーチング前のやりとりを描いたシーンではそれを確実にするかのごとく強豪立花高校の演奏をバックに美玲を誘惑していました。このような奏の視聴者に対して「強さ」を見せつける様はアニメ1期時点でのあすかを思い出させます。見かけ上久美子とは仲がいいように見えるのも同じですね。

しかし中盤、オーディションが始まることをきっかけに隠していた本心は爆発します。先輩を差し置いて選抜されることの重さ。吹奏楽を続けることの意義。このアニメ1期で見せたような「吹奏楽をやるということ」を再定義するかのような難問に久美子は戸惑いを見せてしまう。これに失望を見せた奏の言葉から、久美子はあすかとの会話を思い出します。ここからアニメ2期で見せた「先輩と後輩」の関係性につながっていっています。あすかとの会話では久美子は「後輩」として思う感情をぶつけました。しかし今回は、「強くなること」という疑問への定義づけを行うことで説得を果たしています。「感情的」から「理性的」に、「後輩」から「先輩」になった久美子の成長を見せるとともにアニメ1期&2期でのテーマを再び表現しているのだと感じました。このあと夏紀と奏の距離が近くなったことを「ハッピーアイスクリーム」で描写しているのはうまかったですね。最短距離で親近感の変化と『リズ鳥』を観た人へのファンサービスを表していました。

このように、今作はアニメ1期と2期のテーマを久石奏という人物を通すことで踏襲しつつかつ全く新しいものへと変化させていきました。物語ラスト、「3年生編」が始まったところで幕は下りますが彼女らの次の物語がはじまらない訳がないでしょう。アニメ3期が見られることを楽しみに待っています。

 

長々とした感想はここまでとして、あとはアニメの「外」の話を少ししたいなと。

 まず作画ですね。正直、京都アニメーションが送る劇場版クオリティには遠いものでした。『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の主力スタッフがいなかったということもあったのでしょうが、テレビシリーズで見た時には突っ込まれそうなものが散見されたのは少し意外でしたね。演奏シーンはさすがに力が入っていたので(というか「リズと青い鳥」がフルで聴けるだけで充分すぎる)よかったです。

次、これが一番の批判点となってしまうのですが、尺ですね。上で書いた通り、今作はアニメ1期2期をまとめたようなものに仕上がっていますが、やはりアニメ24話で描いてきたものを90分で片付けようとするのはさすがに荷が重すぎた。この作品の魅力というのはしっかりとした展開による人間ドラマなのであり、それは90分には到底収まらないものであるのは確実です。等身大のキャラを何人も抱えた北宇治高校吹奏楽部を描けるのは1クールが適切でしょう。その意味も含めてアニメ3期をぜひお願いしますと製作の方々に祈りをこめさせていただいたところで今回の感想は終了です。ここまで読んでいただいた方、ありがとうございました。

 

まとめ:奏ちゃんめっちゃ好き~~~~~~~もっと見せろ~~~~~~~~~~~~~