つくねの箱の中

思ったことをつらつらと。

2021年夏アニメ 所感

社会人には夏休みなどなく... そんななか視聴した作品達を振り返っていきます。

【S】 なし

【A+】スパスタ かげき 

【A】 サニボ リメイン メイドラ 

【Aー】ヒロアカ 韋駄天 迷宮ブラック 

【B+】ひぐらし トーマン 不滅 

【B】    ナイトヘッド ぼくリメ

【Bー】なし

【まだ】マギレコ

【通期】ボルト  ダイ大

【継続】アクアトープ(B+)

計17本

 

以下個別感想。

 

【A+】

・スパスタ

最終回で見事かげきを差し今期トップの作品に。メインキャラを少なくした采配が大成功、渋谷かのんの成長という縦軸を緻密に描くことができたのは間違いなく大きなポイントでしょう。とにかくかのんが主人公していたのが印象的。作中でも指摘があったような過去トップクラスのカリスマ性と克服すべきトラウマを併せ持つ、正に主人公たる存在だったかのんが要所を締める非常に気持ちの良い展開を武器に最後まで走り抜けていきました。

もちろん作画に見劣りしない3DCGや感情を細かに描写する演出も高ポイントではありますが、このストーリーに揺さぶられたのが一番の評価要素でした。花田脚本は近年留まる所を知りませんね〜。ガバさを見せつつもキメシーンをどう盛り上げるかにこだわるスタイルは今の脚本家の中では随一だと思います。

2期は既に決まっており、グループが、そしてかのんがどう成長するかがとても興味深い続編になりそうです。期待して待ちましょう。

・かげき

スパスタには及ばずとも今期トップクラスの作品。派手な絵はなかったものの堅実な話運びと個性的なキャラクターで最後まで今期をリードしていました。「個性的なキャラクター」といっても、最初から全員がそうだったわけでもなく、むしろサブキャラの造形はモブに近く。それでも各キャラにドラマを持たせ愛着を持てるようにした各話数が良い仕事をしていました。中でも星野薫の淡い夏休みを描いた8話はエピソード単位で見ても今期トップクラスの話数だったと思います。そんなサブキャラ達が深みを持たせていくなかで、変わらず作品をまとめていたのが主人公のさらさ。破天荒キャラが周りを引っ張り上げる構図自体はよくあるものですが、特異な才能を活かし行動で魅せていく姿はメリハリも効いた作画と合わせ作品の柱たらしめていました。

総じて出来が良い。2期希望の作品です。

 

【A】

・サニボ

最終回で大きく評価を上げた1作。ビターな世界を迎えることになっても前を向いて歩いて行く、そういう一人の少年の等身大な成長を描けたことには、この作品が生まれた意味があったのだろうと思います。全体的に説明不足、雰囲気で攻めていくエンタメとはほど遠い作風でしたが、反骨心は評価したい所。劇伴の少なさである種の緊張感は持ちながら見られた一方、各話数のつながりが見えにくかったのが惜しい点でしたね。猿野球回なんかは1クールアニメの序盤でやる話ではなかったし。あと劇伴がないなら挿入歌もいらなかったかな。とまあ言いたい点は多々ありつつも最終話まで見ることができたのは雰囲気とキャラクターの良さに尽きる。万能クリエイターラジタニやおっぱいに顔を埋める朝風といったサブキャラはもちろん、長良、希、瑞穂のメインキャラはやりとり含め作品の雰囲気を形成するのに欠かせなかったと思います。

色んな人に見てもらいたい、そんな作品でした。

 

・リメイン

記憶喪失の主人公というファンタジックな設定を上手に使い爽やかなスポーツアニメを生み出した手腕に拍手を。危うかったのは序盤くらいで、メンバーが揃ってからの展開には目を見張るものがありました。特に主人公みなとが記憶を戻し性格が真逆になってしまってからの話の運び方。俺様キャラになってしまったみなとを悪者として描くのではなく、かつての強者として部活を引っ張る主軸と描いたことでチーム全体の意識を変え、またみなと自身は優しかった頃の自分が残したメッセージを見ることで意識を変え、と双方のみなとを立てつつ話を進めてきたのは匠の技でした。最終話もスポーツ物の王道を展開しつつ家族問題までフォローする細かさを見せるなど、脚本のうまさが際立っていたと感じました。

前半メンバー集めパートがあまりノレなかったのでこの位置ですが、2期があればA+級の面白さを見せてくれるのでは? 期待します。

 

・メイドラ

前期はAーでしたが今回はAで。上げた理由としては、やはり作品の楽しみ方が分かってきたのかなと。キャラをかわいらしくコミカルに描くセンスは京アニの中でも石原監督が一番で、そこの強化も理由の1つでしょうか。高クオリティの作画で細かくキャラを動かしつつ、「いい話」に持っていけるのは京アニならでは。カンナ回の10話が顕著だったように思います。一方でシリアスが合わない、きつい点は相変わらず。「共存」をテーマにトール周りで縦軸として話を進めるのはいいけども、エルマとの絡みでシリアスを引っ張り出す必要はあるか...?と振れ幅のギャップには少し辟易する面も。

それでも総じて基本安定して楽しめる作品でした。今後も楽しい作品をよろしくお願いします。

 

【A-】

・ヒロアカ

全体的に6期への準備期間といった印象が強かったシーズン。劇場版を挟んだこともあり、構成や作画がそちらに引っ張られる面も強く、今までと比べたら力不足感は否めないのは確か。それでも破綻はせずに要所要所は締めてきたところはさすがの一言です。

全ては(スタッフ的にも視聴者的にも)作品最大のカロリーを必要とする戦争編の布石だと思って。続きを楽しみに待ちましょう。

 

・韋駄天

レイプに始まりダルマで終わる。最後まで露悪的な展開と激しいアクションで引っ張るザ・深夜アニメと言うべき作品でした。過労死まったなしの勢いで作品を提供し続けるMAPPAの現状を踏まえると心配になるくらいの戦闘作画は安定していたものの、話的には語れる場面は少なく。着地点が見えたのは最終話でしたしね。個人的にはイースリイのCVを務めた緒方恵美に注目したいところ。昨今女性声優が男性キャラを演じるのは少なくなってきていますが、少しくぐもった独特な声質はまだまだ唯一無二でしたね。

原作はもう丁度使い切ってしまったようで、恐らく2期はやるにしても相当先の話だと思いますが、その時は見てもいいかなと思えた作品でした。気軽に見られるのはやはり必要。

 

・迷宮ブラックカンパニー

1話で獲得した好感度で最後まで突っ走ることができた作品でした。クズは強い。

CVの強さが光っており、特に主人公二宮に小西克幸を充てた采配はベストだったと思います。コメディ作品に必要なハイテンションをキープしつつかっこいい場面でも崩れない力強さを両立できる声優は意外といないのでは?高笑いが印象的でしたね。

話的にもエルザをギャフンと言わせる縦軸に沿いつつ愉快なエピソードを進めており、タイムスリップ編やほっこりエピソードでお茶を濁していながらも毎週安定して見られた作品でした。今期この作品を超えるかどうかがAーかB+かの違いだったかなと。

 

【B+】

ひぐらし

業終了時にあった期待は物の見事にぶち壊されましたが、毎週楽しく見ることができました。解決編の作りとして元々再放送チックになるのは仕方ないとはいえ、沙都子が壊れていく様子、SSR鉄平の様子を眺めるくらいしか見所がなかったのは残念な点とはいえ、それを綺麗にまとめる終盤が見られると思いきや、始まったのはシンひぐらし。想像とはだいぶ違うものを見せられたとはいえ本音をぶつけ戦い合う様子は面白かったので個人的には満足でした。考察勢は気の毒だと思うけど... 

何はともあれ3クールリアルタイムでひぐらしというコンテンツを楽しめたのはいい体験でした。お疲れ様でした。

 

・トーマン

設定の強さとヒキの強さが最後まで魅力的な作品でした。アニメとしては低クオリティの一言で済ませられるので話すものはないですが。タイムリープ物の強みは人を殺せる点にあると改めて感じたのもこの作品。大事な人を死から救うという単純ながら強烈な目標が、主人公と視聴者とで明確に重なるのは大きな利点ですね。本作ではそこにヤンキー物という前時代的ではありながら大衆ウケしやすいジャンルをミックスしたのが良かったですね。強い男達の中であがく弱者という構図も作れ、非常にスマートな作品だと思いました。ただタケミチは頭が悪すぎて応援しにくかったけれど...

恐らく2期もそのうちやるとは思いますが、これに限っては漫画でもう充分ですね。

 

・不滅

1クール目は人との交流の中で進化していくフシ、という軸があり好意的に見られましたが、2クール目はよくある戦闘作品に落ち着いてしまい、退屈な作品になってしまいましたね。平均してB+です。人間ならざるものが人間とのやりとりを通して成長していくという話の立て方は「ディスコミュニケーション」をテーマにした前作『聲の形』と通じる所があり、やはり1クール目、2クール目の最後は評価したい。それだけに戦闘回に意味を感じられなかったのが返す返すも残念でした。ノッカーとはなにか、それが明かされなかったので単なるお邪魔虫になっていたのもありここがもう少し深掘りできていたら話は変わっていたのかも? 次シーズンも制作決定していますが展開が牛歩なこともあり視聴意欲は薄いのが正直な感想です。

 

【B】

ナイトヘッド

設定が壮大すぎてついていけなかった... ここまで感想を書きにくい作品もなかなかないですね... 前半の仕込みに後半の急展開が間に合っておらず、結果として綺麗だったものの響かないエピローグが生まれてしまっていたかなと。登場人物の物わかり良すぎたのもとにかく纏めきろうとする脚本が垣間見えてそこも残念な点。白組のCGは相変わらず素晴らしく、やはり今のCGアニメ制作会社では群を抜いていると感じました。

 

・ぼくリメ

主人公がタイムリープさえしなければ世界は丸く収まっていたんじゃないかという懸念が最後まで尽きることがなかった... 様々な登場人物も全て主人公の引き立て役でしかなく、試みは面白かったものの平凡な作品となってしまいましたね。プラチナ世代と同じ舞台で頑張りたいという独善的な動機から始まる物語を描くには主人公に世界が優しすぎたのも快く思わなかったですね。恐らく主人公の声がもう少しまともならそれなりの評価はできたのかもしれないけれど、そこは自社作品でもないのにねじ込んでくるブシロードを恨むしか。作画はよかったのは唯一の救い、そこはさすがのfeel。

 

さて、今回の感想まとめはこれで以上になります。ここまで読んでいただきありがとうございました。

正直本数削った割に満足感はあんまり得られなかったので個人的には不作でしたね~。

本数が死ぬほど多い秋クールに期待しましょう。

2021年春アニメ 所感

夏アニメがまだ全て始まったわけではないのでセーフということで...

ざっと並べたものがこちら。

【S】 なし

【A+】メガロボクス ダイナゼノン

【A】 ゾンサガ ゴジラSP 美少年探偵団 シャドーハウス

【Aー】バックアロウ バクテン VIVY エイティシックス

【B+】フルバ モリアーティ カバディ

【B】    ひげひろ

【Bー】大罪

【通期】ボルト  ダイ大

【継続】ヒロアカ(Aー)不滅(Aー)東卍(B+)

連続3クール目に入ったダイ大を通期枠に。

惜しい作品が多かったような気がします。

その中でダイナゼノンは頭1つ抜け出ており、メガロボクスは思わぬ収穫でした。

以下個別感想。

 

【A+】

・ダイナゼノン

空気感一等賞。グリッドマンよりも各キャラクターに焦点を当てた話作りがドンピシャに刺さりました。ロボ物でありながら、その実よもゆめのボーイミーツガールを中心とした成長ストーリーを描く。ボイスドラマの脚本を前作から担当していたことから雨宮監督はこちらの路線に進みたかったのではないかと思っていたけれど、それは正解だったんじゃないでしょうか。大人になりきれていない存在、アンチ主人公チームとして描かれた怪獣優生思想や、ゆめの姉、ひなの死の真相と物語で出てきた要素は成長のためのギミック、という扱い方は一番描きたい物を伝えてくれるという点で好みでした。

惜しむべくは戦闘が雑になってしまっていたことくらいかな。ロボ物を被った、ではあるもののやはりこの作品はロボ物ではあるので、戦闘をノルマ的に扱っていたのはいただけない点でした。そこさえ良ければ間違いなくS、それくらいには好きな作品でした。

 

メガロボクス

王道の1期から大きく姿を変えた2期。軸になっていたのは「帰るべき場所」で、1章2章共に丁寧に描いた巧みなストーリーには驚きはしたもののどんどんとのめりこんでいきました。注目すべきはやはり最終話でしょう。ジョーとマックのどちらか、あるいはどちらもの死が予感された試合でジョーはサチオにタオルを投げられ棄権を選択するという流れ。この展開は王道エンタメ路線とは程遠い結末ではあるものの、それまでに二人の「帰るべき場所」を描いていたからこそ生まれるものであり、また原案「あしたのジョー」のラスト、真っ白に燃え尽きるジョーとから前進したという意味でこれ以上ないものだったと思います。

正直、2期発表の際には蛇足だと感じていたのでここまでのストーリーを描ききったことにはとても驚きました。サチオが幼稚に思えるパートがノイズでSにはしなかったものの、間違いなく良作と言えるでしょう。

 

【A】

・ゾンサガ2期

最大級に勢いがあった1期からはやはり落ち着いてしまったものの、その分終盤に向けての溜めをしっかりと充填していった印象が大きかった本作。その溜めが解放された11話はシリーズ屈指の出来で、これがなければもう1つ下のランクにしていたと思います。また2期というのはキャラ紹介が済んでいる状態からどのように話を深掘りするか、が基本でありそれに忠実だったと感じられたのが5話のリリィ回でした。

このように良いと思える回はあったにせよ、やはりインパクトが薄くなったことは確かであり、1期でいう落雷ライブ回に相当するものが中盤でも来なかったのは物足りなさを感じてしまいました。最終話のライブも言ってしまえば成功が約束されたものであり、どう着地するかが肝だったと思うのですが、宇宙船はさすがにやりすぎかなと。

コンテンツの地力は感じられたものの、惜しさがぬぐえない2期でした。

 

ゴジラSP

ダイナゼノンと同じく、特撮の皮を被ったSFものとして物語を展開してきた意欲作。

具体的にこの話数がよかったというのはなかったものの、強いヒキを持ってきて次週に繋ぎ、その週でクリアしていくという週刊漫画の手法とギミックとして用いられたゴジラの存在感が上手くマッチしており、不穏さを保ち続けたまま見続けることができました。この連続した不穏さが気に入りAという評価をつけたのですが、これができるのは誰も続きを知らないオリジナルアニメだからこそであり、与えられたポジションもしっかり活かせていたなと思います。またSFの「よく分からないけど凄いことが起きている」感や怪獣戦を映像で魅せられておりオレンジの技術が光る作品でもありました。

総じてレベルの高い工芸品、といった作品でしたね。

 

・美少年探偵団

西尾作品が好きでシャフトが好きな自分には死角がない状態で始まったこの作品をAに置けたのは、間違いなくその2つの相乗効果によるものだったと言っていいでしょう。

今作でも多用された西尾作品特有の言葉遊び。これを使うにしてもただ会話させるだけではドラマCDと変わりません。そこで多様な演出が求められるのが難しい点となるのですが、今のシャフトにもまだこれをクリアできる人材が揃っている、それを見せつけるような作品となりました。3DCGを使った演出を用いた大谷肇、キャラの造形を色々と変えてくる岡田健二朗といった風に演出家の挑戦心が垣間見える各話数は見ていて楽しいものばかりで、中身だけ見ると特段山も谷もないストーリーに彩りを加えていたのは間違いありません。また、モノローグ込で長台詞を強制させられる主人公役をシャフト作品おなじみ坂本真綾が上手くこなしており、会話劇としてもしっかりと成立していました。総じてここ近年のシャフトでも特に高品質な出来映えとなっており、ぜひ続きをやってもらいたい作品でした。

 

・シャドーハウス

 黒々とした独自の世界観の中で天真爛漫な主人公が周りを引っ張るという構図がとても好ましい作品でした。とにもかくにもエミリコでしたね。他キャラとの掛け合いを楽しむ序盤、行動力を見せつける中盤、ヒロインとして他キャラを引き立てる終盤とエミリコを中心としたストーリーの回し方が芸術的。また天真爛漫と言ってもバカキャラという訳ではなく、考えて行動した結果で物語が動くのも青年誌特有の思慮深さが感じられました。1クール通して謎を散らしていくスタイルではあったので、ほとんど残した状態で終わってしまったのは原作催促のためとはいえ少し残念ではあったものの、悪役として長い間活躍したエドワードを倒し満足感のいく締めだったと思います。2期あるかどうかは分からないので、原作を買って応援することとしましょう。

 

【Aー】

・バックアロウ

1クール目に盛り上がるための準備ができなかったことがあまりにも惜しい作品。2クール目は全話通して熱い展開を見せようとしていたはいえ、唐突感ある展開が多かったように思えました。1クール目のごちゃついていた単発回や初代ガンダムオマージュであろう村の老人や子供のくだりは2クール目を考えると削ってもよかったですね。勢い重視の作品はそれに至るまでに溜めとなる準備ができていないと作品内だけで盛り上がってしまうという典型例になってしまったかなと。あとは主人公が主人公らしさを発揮したシーンが少なかったことが不満点でした。ゼツの方がよっぽど主人公らしい戦いをしていたぞ?作品名を冠する主人公ならば無双系でいいので物語を引っ張る役割が欲しかったですね。近年の谷口作品では間違いなく良い方に分類出来る分、色々願望が出てきてしまう、そんな作品でした。

 

・バクテン

こちらは上とは真逆のとても丁寧なストーリー。黒柳監督作なら作画による丁寧な日常描写が見所かと思いきや、真の見せ場は3DCGを活用した体操シーンにありました。山下清悟コンテによる試技シーンの数々はその話数のクオリティを担保するには充分すぎる迫力。キャラの反応無しで通しで見せていくというのはアイドルアニメのMVではお馴染みとなっていますが、それをスポーツの演技シーンでやるのは意外性がありとても見応えのあるものになったと思います。こうした強みがあるだけに、キャラクターがとても記号的に見えてしまったのは残念な点でした。アニメアニメした趣味の出し方があったり、ホラー回?が唐突に盛り込まれ他校との関係性をアピールしたりと、キャラの個性の立たせ方が「どこかで見たことあるもの」になってしまっていたと思います。CVが実力者揃いでアニメを見てるなら何回も聞いたことがある声ばかりだったのも拍車をかけていたなと。 総じてはじめてのスポーツアニメ、としてならベストな作品でした。

 

・VIVY

終盤の展開さえ上手くやっていれば文句なしのA以上でした、本当に惜しい。

歌もの、アクションもの、SFものとやりたいことが渋滞していたもののそれら1つ1つの要素が面白さを構成しており結果として1つの作品を産み出すことに成功していたと思います。ただSFの軸としてあったAIによる終末を防ぐというストーリーが未達に終わってしまったことには最後まで納得がいかず。心を持たないAIが心を込めて歌うまでを描くという歌ものとしての軸と上記の軸は共存させることができたと思うからです。長い時間を長い話数をかけて描くことで視聴者に感情移入させるというテレビアニメならではの手法をとってきた以上、そこまでに共有してきた時間を無駄にしてしまうような展開をとってほしくはなかったですね。同じ長月脚本のシグルリとは雲泥の差だったとは思いますが、あと一歩が足りないと感じさせられる作品でした。ちなみにOPは今期一でした。

 

・エイティシックス

1クールで約1巻と贅沢な時間の使い方をしており、それが功罪を生んだ作品でした。

白組の3DCGと澤野BGMによる金属光沢溢れる戦闘や心情描写を丁寧に演出した複数の話数は見てよかったと思うばかりであった一方、全体を通してのストーリーにメリハリがあったわけでなく、1話使うことに疑問を覚える回もあり、毎週1話を見るという行いに適していなかったようには感じました。配信でまとめて見るとまた感想に変化があるかもしれませんね。まだ秋に1クールあるためそちらでストーリーがどのように進行していくのか期待です。

 

【B+】

・フルバ

5クールという長期間で完結までやりきったこと、まずここは評価したいところ。深夜でクール空けながらここまでやれるのはいい時代だなと思います。内容は王道でありながらも昔の作品という感じでしたね。じっくりねっとり進めてきたわりにラスボスパート、5クール目が思いの外急ぎ足だったかなと。また一番長期連載の弊害か途中参戦の生徒会メンバーには最後までいい印象を持てずに終わってしまった。主人公と結ばれなかった側が行き着く先として描くには、これまた少し性急すぎたような気もします。

透と夾が結ばれるのはまあ納得。ここの告白は長い期間かけて描いてきた意味があったと思うようなシーンでした。夾のトラウマ、読者からすれば絶対そんなことないだろとしか思えないのは秘密。ジョジョが大成功している過去作アニメ化シリーズですが、この作品も失敗とは絶対に言えないようなものに終われたと思いました。弾がなくなりつつあるこのご時世、こうした試みは続けていってほしいところです。

 

・モリアーティ

2クール通して淡々と進みすぎてしまいましたね。交差しあうホームズとモリアーティをどのように描くか、というのが肝の作品だったので「最後の事件」編のスピードはもう少し遅めてもよかったかなと。2話でまとめる、という意識が強く出すぎてしまったと感じました。モリアーティとホームズ以外のキャラがそこまで強くなかったことが淡々、と思えてしまった原因でしょうか。1クール目で多く描かれたような悪徳貴族殺害回が2クール目では少なくなってしまい、ボンド、ジャックザリッパーといった新キャラを描くための回がノイズとなってしまったことがパワー不足に繋がったのかと。

 

カバディ

露骨に低予算の壁に阻まれてしまった作品。やはりスポーツ作品は動いてなんぼだったと実感する結果となりました。この作品は原作段階で熱量を充分に備えており、競技シーンさえ動かせば良作となりえただけに残念です。カバディという競技はマイナーなため、動かさないと見ている側がどのように戦っているのかが分かりづらい弱点を抱えていたのですが、それは説明シーンでのCGで補完される程度で収まってしまいました。狭いコートでのスピード感溢れる試合を見たかっただけに、もう少し頑張ってほしかった。話自体は元々読んでいたこともありコメントは特になし。公式戦をやっていませんが、練習試合であってもこちらが引いてくるくらいの熱さを演出しようとしてくるのがこの作品だという好意的な解釈をしているのでここも問題なかったです。

このような作品を見ると、つくづくハイキュー等最強アニメに仕上がった作品が幸運であったことを思い知らされますね。

 

【B】

・ひげひろ

今期唯一のBがついた新規作品。突飛で話題性あるスタートな割に、その後描かれる世界があまりにも牧歌的だったのが残念でした。ヒロインの過去こそ重さを出してきたものの、それを描くまでの仕込みも足りなかった。アニメの範囲外ではあるもの、作品のテーマを壊しにかかるラストのエンドカードがあまりに酷く、視聴後の気分も良くありませんでした。作画も低予算というよりスケジュールが足りなそうな安定のしなさで、全体的にクオリティが低い作品でした。高級感さえ出せていればもう少し評価は変わったのかもしれません。

 

【Bー】

・大罪

夕方アニメの質もどんどんと平均が上がるなか、ここまでクオリティが低いものは久しぶりに見ました。魔神王を倒したあとのエピソードは現在連載中の続編に繋げるためにやったものだろうとはいえ、あまりに蛇足。少年向けといえば聞こえはいいものの、絵も話も10年前の夕方アニメレベルでしたね。日5でやっていた話も絵も質が良かった頃が懐かしい。

 

さて、今回の感想まとめはこれで以上になります。

夏はオリンピック優先で全然視聴できていません!数を絞りつついい作品に出会っていきたいですね。

2021年冬アニメ 所感

秋アニメの総括を吹き飛ばしてしまったので今回はちゃんとやります。

ざっと並べたものがこちら。

【S】 ウマ娘2期

【A+】無職転生 STONE2期 進撃3期 呪術 SK8

【A】 BEASTARS2期 ワートリ2期 

【Aー】ホリミヤ 細胞BLACK 怪物事変 ひぐらし業 2.43 五等分2期

【B+】リゼロ2期 IDORY PRIDE ブラク

【B】    友崎 ネバラン2期 

【Bー】なし

【保留】ワンエグ

【通期】ボルト 遊戯王

【継続】大罪(B) ダイ大(B+) バックアロウ(Aー)

 

今回から分割1クール目は【継続】枠から外しました。一端の区切りということで。

いやー近年でも稀に見る良作揃ったクールになったのでは。

まともにアニメが見られる最後のクールがこれでよかった。

以下個別感想です。

【S】

ウマ娘2期

およそ3年ぶりのランクS。世間が超絶盛り上がってるからという訳ではなく、単純に一アニメファンとして納得のSランクです。スポーツ物の王道スタイルを史実と組み合わせるストーリーの構成力がお見事でした。

まず1期と比べて軸がとてもはっきりしていた点がよかったです。1期はスペシャルウィークの物語とサイレンススズカの物語が別々に進行しているような印象を受け(実際時代が違うので当たり前だが)良作の域を出なかったところ、2期はテイオーとマックイーンに焦点を絞って作劇を展開させていました。これによって分かりやすさが倍増し、2人に思う存分感情移入できるようになったことで盛り上げる回でしっかりと視聴者を盛り上げることができていたと思います。

次によかったのがサブキャラがとても良い働きをしていた点。及川監督が得意とするコメディパートを支えるたくさんのウマ娘はもちろんのこと、TMの物語というスタンスは崩さず、ライス回であったりターボ回であったりを仕込んでくるタイミングが絶妙でした。特に史実では1つの名レースでしかなかったターボのオールカマーをテイオーの再起に繋げてきた10話は見事の一言。あの瞬間に作品の勝利を確信しました。

最終回こそ少し落ち着いた着地とはなったものの、それまでの盛り上がりは他の追随を許さない出来だったのは間違いありません。リアタイで追う楽しさがありましたね、ありがとうございました。

【A+】

無職転生

とにかく作画がすさまじい。魔法描写、剣術描写、日常描写、全てが劇場版のようなクオリティで作られておりどこをとっても一級品でした。これにより作品の雰囲気が強固になっており、自然とキャラクターに感情移入することが出来るようになっていましたね。例えばエリスは暴力ツンデレと一世代前のキャラクターではあったものの、デレパートがとても可愛らしく描かれているので視聴者の好感度が上がるようになっている、といった形だったり。あと特筆すべきは前世の男が作品に出張ってくる点。杉田智和による落ち着きと怠さが同居したようなモノローグが主人公の好感度を支えていたのは大きかったなと。もちろん物語も退屈なものではなく、自身が成長していくスローライフ物から「ターニングポイント」を経て死を伴う冒険物に変わるのは効果的なジャンル変更だったと思います。総じてとてもよく作り込まれている作品でした。2クール目も楽しみですね。

・進撃3期

正義とは何なのか。巨人を駆逐するために少年が戦うダークファンタジーが人間の業を問いかける重厚な展開を制作陣がしっかりと描いた1クールになりました。MAPPAは頑張ったよ。あえてマーレ側の日常風景を密に描くことでそれを破壊していくエレン達の立ち位置をぐらつかせたストーリー運びは熟練の域。特にガビ周りは出来すぎてて怖いくらい。立体機動装置による戦闘だけでは収まらないのがこの作品の素晴らしい点だと改めて感じました。とはいえ戦闘が大きな魅力の一つなのは間違いないので、引き続きMAPPAには頑張ってもらいましょう。正直心配ではあるけど。

・STONE2期

原作が持つスピード感を失わないように、かつ気合い入ったシーンはアニオリや演出でじっくりと盛り上げる。非アクション作品のアニメ化としてはこれ以上なくよく出来ていたんじゃなかろうか。WJ作品は基本全て原作既読で挑むのでどうしてもハードルは高くなってしまう所、この作品は最後まで原作の魅力を引き出すことに成功していた印象です。撮影やエフェクトをふんだんに使った画面作りが隆盛を極めようとしている現在において、メリハリをつけて画面のクオリティを維持しながら話の強さで勝負するこの作品の戦い方は大いに評価すべき点だと思います。

・呪術廻戦

NARUTOや鬼滅を経て生まれたジャンプバトル漫画の結晶といって間違いない、この作品はそういう作品でした。常にベテランや若手の大物アニメーターがハイクオリティな戦闘を繰り広げつつも、ダレる1話を作らない脚本構成を用意と、ジャンプバトル漫画に足りない点を全て取りそろえてきたのは数々のジャンプアニメに触れてきた人間として感涙の一言。上のSTONEの項でも触れていますが、原作ものを見る際にはどうしても色眼鏡で見てしまうのが既読者の常です。ここはどう表現するのか、どのような戦闘をするのかといったように。それを踏まえた時、この作品は原作をどうリフレインするのか、漫画とアニメの表現の違いをどう画面に起こしていくかを常に考えていたと振り返ることができます。鬼滅とはその点正反対の作り方をしていますが、自分としてはこちらの方が断然よかったですね。劇場版として公開される呪術高専はプロトタイプということもありリフレインし放題だと思うので、思う存分やってもらいたいです。

・SK8

「楽しい」を軸に綺麗にまとまっていた完成度の高いオリジナル作品でした。

アダムの発言筆頭にBL的な要素を入れながらも「○○は楽しい」でラスボスが浄化される下りがあったり作品全体としてコミカルなパートが多かったりと、感覚として全日帯ホビーアニメの深夜版といった雰囲気が強かった今作。激しいスケボーアニメーションのアシストもあり、最後までテンション高めで見ることができました。スケボーの面白さを伝えつつ仲間集めを行った序盤、アダムの強烈なキャラクターが提示され勢いを増していく中盤、レキとアダムのダブルパンチでアダムを倒すまでの終盤、そのどれもが面白かったのはキャラクターの立たせ方がめちゃくちゃに上手かったからですね。オリジナル作品で一番の難所は短い話数でどうキャラの良さを伝えていくか、だと考えているのでそこを悠々とクリアしていったのは本当に素晴らしい。大作目指してコケるオリアニは見習ってほしい点だと感じました。円盤を売れたので2期やってほしいですね。謎の早見沙織はその伏線だと信じておきます。

【A】

・BEASTARS2期

長期連載の過渡期によくある要素のごちゃつきが影響してしまっていたかな。1期の評価点であった肉食と草食の恋愛要素、これが食殺の犯人を探すというもう1つの軸に追われ削がれてしまった。これが自分にとっては大きかったですね。ハルやジュノといった魅力的な女性キャラとの絡みという「陽」の側面と、ルイなどと絡む時の肉食と草食の根本的な差という「陰」の側面とのギャップが引きつける要素として強かったもあり、「陰」に大きく振られた2期は面白さはあったもののそこまで乗り込めるものではなかったというのが正直な所。あとはリズともきっちり決着をつけてほしかったですね。ルイの捕食も含め、清濁併せのまなければならないというレゴシの選択は少年漫画脳の自分には少し物足りない部分はあった。(尺不足も大きかったか?)

総じてレベルは相変わらず高かったものの1期と同じ評価はできなかったのでA評価。

・ワートリ2期

随分とクオリティの上がった作品となりました。気合いの入った戦闘シーンがコンスタントに繰り出される今までの東映作品ではあまり見られなかった完成度が自分の好きな作品でやってくれたのは嬉しかったですね。戦闘中棒立ちモノローグにならないよう頑張っていた演出もよかった。香取過去編も力が入っており、静も動も面白い本作品の魅力を損なわないよう工夫して作られているように感じた良作ですね。

大きく盛り上がるだろう2クール目も楽しみに待っています。

 

【Aー】

ホリミヤ

圧倒的温度感のよさ。繊細な彼ら彼女らを表現するかのような線の細さと淡い色影を使った演出が効果的に作用していたのが印象深い。いい演出アニメでしたね。物語の空気を後押ししていたOPは今期随一の出来、さすがOP職人石浜。ただ主軸となっていた物語、堀-宮村カップルにいまいち乗り込めなかったりサブキャラ渋滞が起きてしまったりでこの評価。最終話含めて宮村に最後までとっつきにくさを感じてしまった。割と欲に忠実な堀さんはかわいかったです。石川-由紀周りのエピソードが一番良かったかな。サブキャラの恋愛は勝者と敗者が出てきがちなので上手くまとめられたら面白くなるよね。なんにせよ綺麗にまとまったいい作品だったと思います。

・細胞BLACK

内容一本勝負でオリジナルを上回ったスピンオフになりました。牧歌的で理科の教材に近いオリジナルとは正反対のブラックな労働環境を見せつけたことで、細胞達1つ1つが頑張って働いている姿が印象に残るようになっていた感じ。細胞の死から逃げなかったのも好印象。特に長い話数をかけて相棒との友情を確認させたうえで終盤で殺していく心折設計には涙を禁じえない。発生するアクシデントも現実感を伴ったものとなっており(心筋梗塞はさすがにNG)、立ち向かう細胞達に自然と感情移入させられる。これはもう企画の勝利。彼らの職場をホワイトにできるよう生活を心がけようなオタク達...

・怪物事変

珍しく追っていなかったジャンプSQの漫画。地力がしっかりしていたのが良かったですね。敵味方ともに怪物が怪物のルールで動いており日和った展開にしなかったのは青年誌系のなせる技。ずば抜けて評価できる点は見受けられなかったものの、魅力的なサブキャラを出しつつメインキャラの掘り下げに余念が無いいい展開を積んでくる優等生な作品だったので総合的にこの位置に。続きをぜひやってほしい作品ですね。

ひぐらし

単なるリメイクかと思いきや新ルートを展開。沙都子が黒幕であることを明かしその背景をじっくり描いたうえで夏の解答編に突入と、ひぐらし履修済の視聴者ならば毎週楽しめるであろう話を提供してくれたことには正直驚いた。内も外も仕掛けがしっかり機能した結果かな。令和にコンテンツを復活させるならこのくらいやってくれると嬉しいですね。「業」自体振り返ってみると話はまるで解決しておらず、またひぐらしは結局のところ終わってはじめて評価が付けられると思っているので今のところはAーに収めたけれど、「卒」と冠された解答編でAに行くことは充分ありえるだろう。期待しています。

・2.43

試合に入るまでは間違いなく良作だった。相手チームにスポットを当て始めてからが微妙で結果この位置になった感じ。1年コンビと小田のキャラは間違いなく作品を引っ張っていたので、彼らを中心にしつつ他のチームメイトを試合のなかで丁寧に掘り下げていけばライバルを出さなくともいい作品になりえたのになあと惜しさが目立つ形でしたね。あとこれを言うと元も子もないがバレー描写を頑張ろうとすればするほどハイキューの化物じみたクオリティとの差が浮き彫りになってしまっていた。偉大な先輩がいたのを残念に思うしかないですね。

・五等分2期

ネバランほどではないものの爆速スピードで原作を消化した2期。姉妹達のギアが温まっていき本格的に物語が進行する章が多かったのでここをカット込で流されてしまったのは残念ではあった。それでも物語が破綻しないよう要所を拾って見れるものにしたのはシリーズ構成大知さんのお手柄かな。比べる対象が低すぎるのもあるけれど1期より絵もよかったですね。特に二乃は見違えるように可愛らしくなった。頑張っていた続編だと思います。ここを犠牲にしてまで仕上げたかったであろう3期を楽しみに待ちましょう。

【B+】

・リゼロ2期

単なる2クール以上の密度があった(時間の話)作品だった、ただその長い時間に応えられるだけのカタルシスには遠かったな~という感想。半クールペースでどんどんと話を展開させた1期との最大の違いはここでしたね。SAOアリシ編もそうだったけれど、小説とアニメでは作品の受け取り方が違うのでどうしてもアニメだと間延び感が出てしまう。難しいな。あとはスタッフの流出による作画面(特にアクション)の劣化が目についてしまったのも惜しかった。バストアップが連続するカットが多く工夫しているのは感じられたけどやはりアクションではどうしても差が出てしまう。これも難しい。アニメ化には不向きな章でしたね。

・IDORY PRIDE

色々と粗が目立つ惜しさが目立った作品。大仰な宣伝とともに始まった1話は確かに既存のアイドル作品とはひと味違った出足ではあったけれど、そこがピークでしたね。2つのアイドルグループを出していくのはソシャゲを踏まえた展開とはいえ、さすがにキャラが多い。メイン2人を掘り下げるのに精一杯で他メンバーは魅力に乏しい状態に。その割にライバルグループの過去を描く時間を用意するのは尺の使い方に問題があったのでは。極めつけは麻奈の存在。存在感が強すぎたよ。最初と最後のメインシーンを担当したもんだから結局これ彼女の話だったではという印象を持ってしまう。

また手書きダンスはレベル高いのに3DCGダンスは処理落ちありとクオリティの瑕疵も目立つ。掘り下げられた2人や生命線である曲はよかったりと褒められる点がある分そこかしこに反省点があるという理由から惜しい作品止まりとなってしまいました。

 【B】

・ネバラン2期

どうしてこうなったのでしょうか。大体は脚本圧縮のせいだとわかっているけれど。

原作者監修の下カットの嵐でやりたいことだけをやって終わった今作だが、尺のために溜めとなる部分が消滅しており、原作でも散見されたご都合描写が際立ってしまうことに。本来なら2期範囲であったGP編(生き残りの大人と組んで上級鬼と戦闘する章)も無くなったことで敵側の鬼は総モブ化。肝である逃走もイージーゲームとなってしまった。個人的にはエマの最強論理もまあ少年漫画だしと妥協していたので強調されてもさほどマイナスとは思っていなかったが、期待していたアクションがなくなったのは辛かった。1期ではなかった演出3人回が続くという制作の限界感もあった。総じて劣化してしまいましたねえ残念。

・友崎

日南のキャラが回を増すごとに不愉快になってきたのでこの評価。まずそれ以前にこの作品における「リア充」の定義が自分に合わなかったのでなんで全部見たんだって話ではあったが。結局日南はなにがしたいのか、それがぼかされたまま話が進みつつ日南は強者のスタンスを崩さない。謎を抱えたヒロイン兼ボスキャラのポジションを作りたかったのかもしれないがそれに至るまでの好感度が溜められていない。デレがないヒロインを前面に出し続けるのはさすがに自殺行為だったと思います。ライトノベルはヒロインが大事。

 

さて、今回の感想まとめはこれで以上となります。

今後はなかなか見る本数が少なくなってしまうと思いますが、追う楽しさを与えてくれる作品に出会っていきたいですね。

ジャンプ改編期を振り返る(2021~)

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瓶子編集長就任(2011年30号)から行われた週刊少年ジャンプ上における改編について追っていきます。ここでは2021年から現在まで。

2021年

○2021年1回目改編

out チェンソー(2号:97話※センター終了)、 

    ぼく勉(3,4号:187話※センター終了)、

  アグラビ(5,6号:50話)、モリキング(7号:35話)、血盟(8号:18話)

in   逃げ若、アイテルシー、ウィッチ、クーロンズ

チェンソーぼく勉の円満含む珍しい5outとなった新年改編。

ここで下位で耐え続けたアグラビがとうとうリタイア。

in組には2本連続で当てた実績者2名とすかさず穴を塞ぎにかかった印象です。

 

○2021年2回目改編

out 仄見え(18号:30話)、ビルキン(19号:20話)

in   アオのハコ、アメノフル

比較的小規模な改編。マガジン連載経験者がジャンプに来たのは2000年代では初ですね。out組は増ページで締められた仄見えとコミックスぶん投げのビルキンと大きな差が…

 

○2021年3回目改編

out ニラ(29号:47話)、テルシー(30号:21話)、クーロンズ(31号:20話)

in   レッドフード、NERU

連続2in。周年まであと1話だったニラが脱落。他同期は全て周年を越えただけに悔しい結果に。改編と同じタイミングで呪術が1ヶ月ほど休載していました。

 

○2021年4回目改編

out アメ(41号:19話)

in    PPPPPP

続く小規模改編。1in1outはかなり珍しい。

 

○2021年5回目改編

out レッドフード(49号:18話)、NERU(50号:18話)

in  アヤシモン、しゅごまる、ドロン

年度最後に3in、その全員が+含む連載経験者と勝負に来た感のある改編となりました。

ちなみにout組、同期が2クールで全滅したのは2018年の田中アリス以来となります。

 

2022年

○2022年1回目改編

out マグ(10号:77話)、ドクスト(14号:232話※センター終了)

in   あかね噺、地球の子

周年越え連載2作が終了。5年間トップ層を守りきったドクストが円満を迎えました。

 

○2022年2回目改編

out あやかし(20号:88話移籍※センター終了)、ブラクロ(21,22号:長期休載)

in すごいスマホ

まさかの1in2out。前回改編時点で打ち切りが確実視されていた作品が残りつつ中堅が移籍&長期休載と抜けていく誌面的には厳しい展開に。

 

○2022年3回目改編

out アヤシ(26号:25話)、しゅごまる(27号:26話)

in  ALIENS AREA、ルリドラゴン

…と思っていたら高速で入れ替えが行われました。(減枠中なのは変わらず)冨樫先生Twitter開設によりハンタの復帰可否に希望が見えましたがこの一覧に書けるのはいつになるのか…

 

○2022年4回目改編

out ルリドラ(35号)、ドロン(39号:36話)、地球(40号:27話)

in   ブラクロ、鬼嫁伝、ギンカ

期待の新星ルリドラが復帰時期未定の休載に…

ラクロが復帰しましたがこれにより減枠は続きます。

改編自体は小規模で行われ下位2作品が終了しました。ドロンはよく粘った。

 

○2022年5回目改編

out すマホ(46号:23話)、エリエリ(47号:20話)

in    ハンタ、一ノ瀬家、いろは、イチゴーキ、人造人間

年度末に初めての大型改編。

ハンタ筆頭にタイザン5の招集、西尾維新の復活と話題を呼ぶ新連載に加え休載ローテを採用(?)、これにより連載作品が22作となりました。

 

2023年

○2023年1回目改編

out  ハンタ(4・5号)、高校生(12号:122話)、PPP(13号:70話)

in なし

年度初めはまさかの0in。

ハンタが週刊連載形式を正式に終了、周年越えの2作が同時に終了とサプライズ感ある改編となりました。

 

○2023年2回目改編

out 鬼嫁伝(18号:29話)、ギンリュー(19号:29話)、イチゴーキ(20号:19話)

in テンマク、キルアオ、ドリトライ、鵺

ようやく始まったinは実績者2作にリベンジ1作、新人1作とバランスの良い4作が入ることになりました。イチゴーキは実質突き抜けということで…

 

○2023年3回目改編

out マッシュル(31号:162話※センター終了)

in  アスミ、ギル

outはマッシュルの円満のみとなった改編。

inにはベテランと新人のコンビを投入、これにより連載枠が1つ超過状態となりました。

 

○2023年4回目改編

out ブラクロ(38号:368話移籍)、人造(40号:36話)、テンマク(41号:21話)、ドリトライ(42号:19話)

in   魔々勇々、カグラバチ、ツーオンアイス

限界を迎えたブラクロがGIGAに移籍。連載枠は超過していたのでこれで通常に戻った形となります。

inが全員新人なのはデラマシュ改編以来でしょうか。

今回は手塚賞受賞者で揃えたようです。

 

○2023年5回目改編

out 一ノ瀬(49号:48話)、ギル(50号:20話)

in   グリーングリーングリーンズ、累々戦記

+からの刺客も周年目前で打ち切りに。

inはスポーツとバトル、スポーツ物3連続はようやく空いた枠を埋めようとしているのでしょうか…?

 

2024年

○2024年1回目改編

out 暗号(10号:58話)、アスミ(11号:32話)

in   超条先輩、anemone

 

年度最初は暗号アスミと実績者が去っていった改編となりました。

実績者と入れ替わったのは2017年以来の連載となる沼駿先生の新作と新人松井琳先生によるダーク系のファンタジー、既存作と戦える作品となるか。

 

現在の改編はここまで。誌面はここからどのように変わっていくのでしょうか。

2020年夏アニメ 所感

毎回続けていきたいシーズン総括。

今回はこんな感じの振り返りになったということで早速やっていきましょう。

前回は総括記事はこちら↓

bakobako.hatenablog.jp

 

ざっと並べたもの。

【S】  なし

【A+】超電磁砲3期

【A】 俺ガイル3期 デカダンス 

【Aー】魔王学院 富豪刑事 あひるの空 (銀英伝

【B+】SAOWoU ソーマ5期 彼女、お借りします 天晴爛漫 (AICO)

【B】 GOH  エグゼロス (日本沈没

【継続】フルバ リゼロ グレプリ 炎炎 

 

【通期】ボルト 遊戯王ラクデジモン

計20本

いやー多かったですね。以下個別感想です。

 

超電磁砲3期 A+

コロナと戦いながらも放送し続けた大覇星祭編、再稼働後の天賦夢路編、どちらもハイクオリティを保ち続けたまま完走してくれました、拍手。

J.C.STAFFの凄腕アニメーター達が毎話のように参加していた今作は、過去の超電磁砲を超えるレベルの戦闘を魅せつつ原作補完も完備した隙のないストーリーを展開、アラが目立つアニオリ長編もやらなかったことでこれ以上ない完成度のまま今期のトップを走り続けていました。とあるシリーズファンとして感無量です、という意味を込めてA+に。本編の犠牲は忘れない。

戦闘全般がよかったのは言うまでも無く、原作のもつコミカルさを活かした回も抜群の出来でした。『ハイスコアガール』監督の山川吉樹さんがコンテを担当した18話は、影のベストエピソードとして大きな印象を残しましたね。

現在原作ストックが1巻分しかないので4期が作られるのは当分先だとは思いますが、また素晴らしい作品を作り上げてくれることを期待しています。

 

・俺ガイル3期 A

2013年に放送開始したこの作品も7年の時を経て遂に完結。3期通してカットの多いアニメとなってしまったものの、雪乃のかわいらしい笑顔を最終話に見せてくれたこの作品に感謝とお疲れ様を込めてAをつけました。

上にも書いた通り自分は雪乃派なので3期は大歓迎だったんですけど、結衣派は血反吐をまき散らしていたんだろうなと思わざるをえない構成でしたね。雪乃の描写を削ったうえで、モノローグも入れつつ丁寧に結衣の心を折っていくスタッフは鬼そのものだと思いました。A+でない理由は雪乃に限らずカットが多いことで1つ1つの描写が薄くなってしまった点と3期範囲の原作自体がそこまで面白くないからですね。まあこれは原作の話になってしまうのでここで面白くない理由を書くのは控えますけど。

なにはともあれ、コロナの影響も受けながらアニメを完結まで続けてくれたことに、改めて感謝です。ありがとうございました。

 

デカダンス A

非常に惜しい今期のオリジナル作品。半分までいったところではA+級を信じて疑わなかったのですが、そこからだんだんとスケールダウンしてしまったのが残念でした。しかしアクションシーンの出来映え、ナツメのキャラクターはとても好感度が高く、前半の貯金も合わせて評価はA、という感じです。

スケールダウンという言葉、言い換えると優等生に収まってしまった、ですかね。

この作品の主人公はカブラギであったのは間違いありません。その彼が「ぶっ壊そう」としていたシステムは、果たしてぶっ壊れたのか。答えは否です。モンスターハンターからどうぶつの森にゲームが変わっただけで、システムに支配されているという現実は変わっていません。主人公に「ぶっ壊す」と発言させるなら、宇宙に行って元凶の宇宙船を破壊すべきだと思います。尺が足りないわりによくまとめた、だったり2クール欲しかった、だったりという意見をいくつか見かけましたが、オリジナルアニメで尺にあったストーリーを作れなかったというのは大きなマイナスかなと。実際余分な展開が多かったように思えます。例えばサルコジが犠牲となる話は必要だったかどうか。カブラギとナツメに焦点を絞って話を進められていたら、もう少し面白い作品になったのではないかと思います。

ナツメというキャラクターについて。今まで見てきたCV楠木ともりキャラで一番魅力的なキャラでした。彼女が凡キャラなら評価はもう少し下になっていたところです。自身が下の下の人間であると自覚したうえで、それでもなお光を探し続けることに迷いのない彼女の姿にカブラギが惹かれるのも納得でしたね。

まとめると『ダーリン・イン・ザ・フランキス』『キルラキル』のようなTRIGGER作品におけるラストバトルが欲しかったね、という話でした。超展開すぎると批判を受けることも多いTRIGGERのラストバトルですが、この作品を見るとハッタリの重要性に気づかされますね。壁を破る一歩が踏み出せなかった本当に惜しい作品でした。

 

・魔王学院 Aー

テンプレートに沿ったなろう系...では収まらなかった今期のダークホース。多少飽きはきていたものの、最後まで楽しませてくれたこの作品にはAーをつけました。

この作品の魅力はやはりアノスに尽きるでしょう。傲慢なオレ様キャラと思いきや、家族愛にあふれ仲間が傷つけられると怒りを燃やす王道を往く少年漫画系主人公だったアノスだからこそ、俺TUEEE展開も笑って応援できるつくりになっていました。

大沼心パワーが抜群に発揮されていた(と思われる)4話で引き込みにいった作戦が大正解でしたね。この作品で監督として色々学んだとインタビューで語っていた田村監督がコンテ、演出、原画と様々なセクションで作品を引っ張っていたのも印象的です。

シルリンのラノベアニメからはデスマーチのショックでしばらく離れていたのですが、これを機にまた新作を追っていこうという気持ちになりました。ありがとうございました。

 

富豪刑事 Aー

こちらも最後まで楽しく見ることができた作品。路線変更に惑わされながらも先が気になる作りで飽きさせませんでしたね。Aでもいいかなとは思っていましたが、最後のラスボス周りが微妙だと感じてしまったのでAーです。

この作品は大きく分けて2つの要素、トンデモ解決とバディの成長を見守るコメディ刑事物要素と中盤から生えてきた神戸小百合殺人事件の真相を追うシリアス刑事物要素があり、その振り幅が大きかったことは意外性があり自分にとっての評価ポイントとなりました。

一方でその両方がノれるものだったかというとそうではなく。コメディ要素を確立させた4話から一転し5話からシリアスルートに入ってしまったことには惜しさと寂しさが感じられました。全11話という短い話数のなかではどちらかに振った方がよかったのかもしれません。

結果としてAーという評価には収まりましたが、神戸と加藤の王道バディに最後まで楽しむことができたのは事実です。ありがとうございました。

 

あひるの空 Aー

全50話という長丁場をディオメディアが必死さを見せながらなんとか完走。有名コミックスが原作なだけあって、演出が微妙でもストーリーで充分に魅せてくれる作品でした。これでアニメとしての出来がよかったらAだったかな。

50話のなかで仲間集め、練習試合、公式戦、挫折からの復活と王道と言われるストーリー展開を詰め込んだ本作。所々でマガジンらしい?癖の強さも見せながらも丁寧な話運びは最後まで飽きさせることなく楽しませてくれました。

「バスケに逆転はない。」本編でも言及があったように奇跡的な逆転劇が起きるわけでもなく他校との試合は全敗。それでも楽しく見ることが出来たのは、その敗戦どれもに間違いなく役割があったからでしょう。少しずつ成長していく彼らの先に勝利があることを期待します。

アニメとしては...うーーーん、頑張った!としか言えませんね笑 海外の会社フル活用、演出に偽名たくさんとおよそまともではなかったろう制作環境にコロナが加わり、よく落とすことなく1年戦えたなと思います。(49話の清水空翔さん回はよかった)お疲れ様でした。

 

・SAOWoU B+

アリシゼーション編として始まった第3期も今回で4クール目、最終決戦にふさわしい見応えある戦いを見せてくれました。...が、改めてこの3期を振り返ってみると、作品としては凡庸なもので終わってしまったというのが個人的な感想です。なので評価はB+。

まずストーリー。SAOは2期のGGO編のようにストーリーが尺に対して間延びしている印象が強かったのですが、このアリシ編はそれに輪をかけて酷かった。リアルパートのUWパートを交互に展開していくのは原作同様なのですが、リアルパートはばっさりとカットしてもよかったのではないでしょうか。SAOは小難しい理屈を並べるよりアクションで魅せていくタイプの作品、戦闘を放棄してしまうと退屈な回となってしまいがちです。(キリトが眠っていた3クール目がいい例)

また、3クール目は整合騎士vsダークテリトリーというこれまでのSAOとは全く別物の展開が行われたことで関心を削がれてしまったことも大きなマイナスになってしまったと思います。SAOという作品はキリトによって成り立っていることを踏まえて、WoUは全15話くらいの尺でも十分だったかと。ジョジョと同じ道をたどってしまったなあ。

次に映像面。これは間違いなく伊藤監督時代から劣化したと言えます。全体的にシュールギャグのような絵が多すぎ。長い尺をとってラオウのようなポーズをとるニエモン、ラストバトルで何回も現れるユージオの精霊など、盛り上げようとしているのならば明らかにやりすぎな映像が数多く流れたことには監督のセンスを疑います。同クールで伊藤監督が元気にやっているのを見るともどかしい気持ちになりました。

撮影によってバトルの高級感が増したのはよかったです。元々上手いアクションシーンにこれが加わったことで、戦闘の1つ1つが劇場版クラスに跳ね上げられていましたね。続編でもぜひ続けてほしいところです。

とりあえずお疲れさまではありますが、出来自体に手放しで賞賛はできませんでした。SAOの原点を描く続編では、当時の興奮を思い出させてくれることを期待します。

 

食戟のソーマ5期 B+

こちらもお疲れ様でした。つまらなくなっていた原作を可能な限りアレンジして視聴に耐える出来まで引っ張り上げたスタッフに最大限の敬意を込めて評価はB+です。

ジャンプ本誌で掲載順最下位を何度もとったBLUE編ですが、その低評価を作り出した1つである「異能」という設定、まずこれを消去。実際読んでいて過去に登場したスキルがいきなりこの「異能」に加えられていったのは違和感アリアリだったのでこの変更はありがたかったです。また本編完結後、別媒体で掲載されたエピローグを追加し作品にまとまりを持たせるというストーリー改編もよかったと思います。総じて細かい変更の1つ1つが原作をブラッシュアップさせる役割を果たしており、愛のこもった映像化だったと言えるでしょう。ありがとうございました。

 

・彼女、お借りします B+

ストーリー以外はかなり高品質な作品。話だけを見るなら絶対に上がらなかった評価を

キャラクターのかわいさ、声優陣の演技等が押し上げた結果B+となりました。

話について。まず大学生の物語なのがなかなかどうして合わなかったですね。大学生というのは恋愛にセックスが密接に絡まってくる関係上、話が生々しくなりがちなんですよね。そこから逃げずに主人公の和也がそれっぽい妄想をするシーンを描くのは挑戦的ではありますが、わざわざそれをアニメという空想の世界でやられると嫌悪感を抱いてしまいます。和也は現実にいそうなクズなんですよね。見栄から嘘をつき続けてしまったり、すぐ欲情してしまったり。その姿を見て共感し笑ってあげるのがこの作品の楽しみ方と言われればそれまでですが、自分には合わなかったということで。

それでもこの作品を見続けることができたのは、一重に女の子のかわいさだったかなと。正統派ビジュアルの千鶴、甘ったるいロリっ子の瑠夏、悠木碧の演技が冴え渡る麻実(あと墨)、様々なヒロインがわちゃわちゃと動き回る様子は崩れなかった作画も加わって物語を引っ張るには十分な存在でした。続編でもこのかわいさは維持してくれたらまあ完走はできそうです。

 

・天晴爛漫 B+

なんで今期のオリジナルは揃って終盤落っこちるの...と悲しみにくれた2020夏。一番派手に落ちていったのがこの作品でした。前半AーorA、後半B、平均してB+です。

まず、この作品を通してスタッフがやりたかったことを聞きたい。西部劇だったのか、レース物だったのか。大陸横断レースに挑むという物語から始まり、ライバルとの対決や仲間の獲得までは順当に進んだものの、いざ始まると車から降りてギャングとドンパチやっている。これでは序盤を見てついてきた視聴者を裏切っているようにしか思えません。一応問題は丸く収まり後日行ったレースも優勝とハッピーエンド感は出していますが、そこに至るまでの道のりが全く構築されなかった印象です。キャラ紹介でレース要素を使い果たしてしまったのでしょうか。

技術云々の話をするにしても、主人公の天晴がギルを倒さないとまとまりがつかない。前時代の象徴たるギルが同じく前時代の人間である二人にやられるのでは...ねえ?

東洋人が技術力で挑む大陸横断レースという設定はよかったので、ギル周りを全消去してもう1回作り直してほしいくらいですね。最近のPA.WORKSは迷走が激しくて困る...

 

・エグゼロス B

2020年のアニメとは思えない拙い作画でせっかくのエロコメが死んでしまいましたね。話としても1話のインパクトを超えることはできず、物足りなさがかなり強いアニメとなってしまいました。ということで評価はBです。

とにかく作画が崩れていたのが悪印象。カノカリしかり、女の子主体のアニメは絵に気をつけてさえいれば最低限の評価を得ることはできます。それが出来ていないという時点で、この作品をまともに見せる気ないでしょと。ほとんどが他社グロス回でしたし、根本的に予算が足りてなかったことが容易に想像できます。コロナがなければ少しはましになったとは思うんですけどね。

話の方も、1vs1ラブコメというTo LOVEるにない要素を上手く使えていなかったですね。トーキョー支部やサイタマ支部の出番を削ってでも、雲母と炎城のラブコメを強く推すべきだったと思います。全体的に雑なアニメに終わってしまったのが残念でした。

 

・ゴッド・オブ・ハイスクール(GOH) B

最強の作画アニメ。それ以上でも以下でもありませんということで評価はBです。

まー戦闘がすごかった。朴監督が作る3次元的な戦闘シーンを(朴監督含めた)敏腕アニメーターが毎話描いていくと豪華な環境で生まれたものが面白くないわけがない。特にワタナベケイイチロウさんが手がけたシーンは圧巻でしたね。正直これらの戦闘シーンを生みだしただけで十分すぎる功績ともいえます。

しかし、それ以外の要素、特にストーリーは酷いとしか言えない。前半GOH予選まではまともにトーナメントを続けていたものの、後半本戦が始まってからは別世界が始まってしまいました。結局ドラゴンボールがやりたかったのかと分かったのは最終話になってから。神龍的存在がさらっと出てくるあたり一周回って最強感がありましたね。

振り返ってみて、この物語をとりあえず作画がすごいアニメ、として見させ続けた朴監督がとにかく頑張っていたと分かったのが数少ない救いです。朴監督は『呪術廻戦』の監督として存分にその才能をふるってほしいと思いました。

 

というわけで、総括終わり。ここまで読んでいただきありがとうございました!

秋アニメはとにかく数が多い&自分が忙しくなるので総括記事があげられるかは自信がないですが、それは置いといて楽しんで見ていきたいですね。